こんにちは中部メンテナンス課です。
今回ご紹介する修理は、サイドボード天板部分の再塗装修理です。
入荷された現物を確認しますと、日焼けによるものと思われる塗膜剥離が起きており白濁した状態と
なっておりました。
修理は、白濁して傷んだ表面を削り取り、新たに塗装を行うのですが天板材料は「オバンコール」の
突板仕様の為、削り作業の際に突板が剥けて木目柄が消えてしまう恐れが有ります。
その点のリスクが伴う事をお客様に事前にお伝えしたうえで、ご了承を頂いての修理となりました。
「オバンコール」について
産地 : 西アフリカのコンゴ、コートジボアール、ガーナなどの熱帯雨林地帯に生息
特性 : 木目が美しく、その木目を生かし 高級家具、内装材、弦楽器などに使用されています。
①入荷されてきたサイドボード。 弊社を代表する『コロニアル』シリーズの商品で1985年に発売され
現在も購入が出来る人気商品です(品番HC5307NK)。
②白濁した天板の様子。日焼けが原因なのか白く濁り、コロニアルシリーズ独特の艶やかな素材感が
無くなってしまっています。
今回は天板のみの再塗装修理のご依頼です。 さっそく修理作業に入ります。
③先ずは、天板以外の部分を新聞紙を利用して養生します。
本体に塗料が付着しないよう、マスキングテープでしっかりと貼り付けます。
④今回塗膜を剥き取る工具として、空圧式アクションサンダーを使用します。研磨力が強く、手にすっぽり
納まるので作業性がよく、今回のような作業には適した工具ですね。
⑤ アクションサンダーは突板の状態を確認しながら、慎重に木地の状態まで剥き取っていきます。
⑥ 天板周りの飾り木部分はオリジナルの形状を崩さないよう、手作業で丁寧に剥き取っていきます。
⑦ 塗膜の剝き取り作業が完了しました。
尚、木地はきれいに研磨し剝き取り痕が出ないように調整しています。
今回は材料の状態が良かった為、突板の剥き取り量はごくわずかで済みました。
次は塗装工程です。 塗装の工程は木地着色・下塗り・中塗り・上塗り の順に行っていきます。
⑧木地着色工程実施後の様子。 この作業を施すことで、木材の導管や小さな穴を埋め、きれいな平滑面を作る事で木材着色の仕上げの際に効果が出ます。
⑨続いて、下塗りして空研ぎ、さらに中塗りして空研ぎという工程を行い、のちに塗布する上塗り剤との密着力を強め、塗膜が剝がれないよう塗装の機能性を高めます。
➉ #400番のペーパーを使い研磨していきます。
⑪ 空研ぎ後の様子。空研ぎ時は塗肌に気を付けて空研ぎを行います。
⑫仕上げの上塗りを塗布した直後の様子。 ムラなく綺麗に塗布されています。
⑬上塗りが乾燥しました。コロニアルシリーズ独特のツヤが復元できました。白濁して見えなかった
木目柄も見事に復活しました。
before
after
今回お預かりしたサイドボードは修理箇所の天板以外は大きな傷も無く天板を再塗装することでとてもきれいになりました。
突板のムキ取り再塗装は非常に難しく製品によっては修理が出来ない事も有りますのでご了承ください。
今回の修理代金は ¥73,000(税別)
※当時の価格です