こんにちは・・・・中部メンテナンスセンターです。
今回は、ロココ調ダイニングテーブル、天板ムキトリ再塗装修理「後編」のご紹介です。
先回は木地をペーパーで研磨、調整を施した後、框(かまち)部分に養生を施すところ
までをご紹介しました。
いよいよここから塗装工程に入ります。
先ずは、突板部分に着色目止めを行います。
目止めとは、塗料材が綺麗に均質に着色できるようにする為の下地処理です。
木の表面は水分の通り道である「導管」や「細胞間隔」など無数の穴状のものがあり、
そのままの状態で塗料を付着させても、その穴から内部へと浸透してしまう為、
きれいな塗面が作れません。
スプレーガンで塗料を塗布しワイピング(拭き取り)を行います。
塗料は目止剤の他、着色剤も配合してあり、木目に摺り込むようにして
作業を行います。
しっかりと塗料が摺り込むと、このように木目が浮き立つような感じに着色できます。
框(かまち)部分と天板の突板部分では樹種が違うので色差が出ます。
これを補正するように赤みのある着色剤に変えて塗布します。
◆(框部分に養生を施した理由は、この工程を行う事にあります。)
また、凹凸や削れの補修で白くなってしまったところもこの工程で補正を行います。
次に、「サンディングシーラー」による下塗り、中空研ぎ工程を行います。
「サンディングシーラー」とは塗装の下塗り用材で、これも吸収性が良い木材に
塗料が吸い込みすぎないように施すものです。乾燥後、表面を研磨して調整する事で
仕上げの塗料を美しくかつ密着を良くする役割を持つものです。
薄く塗布することで木地の毛羽を立ち上げて硬化することができます。
その状態から研磨すると、より滑らかな下地づくりが行えます。
少し乾いてサンディングシーラーが沈んだところで再度塗布する、という事を繰り返します。
目安として、木の導管部分が埋まり塗面が平滑な仕上がりになるまで行います。
その為、塗布する量と乾いた状態を見極めながら進めていかなければなりません。
ひと晩乾燥させて完全に塗料が沈んだ状態です。
導管も埋まり、きれいなクローズ状態に仕上がりました。
天板部は320番400番のペーパー以外に、スチールウールを使用して
平滑作業を行います。のちのグレージング(ぼかし)を行う塗装に備え、
より平滑に空研ぎが施されていないと拭き取りムラが残ってしまうので
気が抜けません。
グレージング塗料を拭き付け、ウエスで若干荒く拭き取ったあと、
刷毛を使って埃を払ったかのような跡を付ける作業を行います。
このような「刷毛目跡」が残るような風合いを出す為、塗料の乾くタイミングを
計りながら慎重に実施する必要があります。
ハイライトぼかしは、框の凸部分をスチールウールでうすく剥がすことで
アンチークな風合を創り出します。
また、補色の際に天板の框周辺にはボカシ塗装を施しています。
最後に光沢度が低めの艶消しの上塗り塗装を行い、すべての修理工程が
完了致しました。
突板仕様の天板ムキトリ再塗装修理は、突板の厚みが薄いため、1回が限界です。
そのため細部の注意を払いながら慎重に作業をする必要があります。
尚、今回の修理依頼品は仕上げも特殊で、クオリティの高い修復技術が求められる
ものでしたが最善を尽くし取り組ませて頂きました。
ありがとうございました。
■今回の修理費用は
作業代¥67,500+お預かり費用往復運賃¥9,000
=合計¥76,500(税込別価格)
2020年1月現在価格になります。