今回ご紹介する修理は、お客様宅で実施した食堂テーブルの脚を30ミリカットする作業です。
このような依頼の修理は意外と多く、主な内容としては使用中の食堂椅子との高さの相性が
良くなく、テーブルの高さを低くしてほしい、座敷テーブルに用途を変えたいのでカットして
欲しいなどが多いようです。
今回は、椅子との兼ね合いで30ミリ低くしたいというご要請で現場で対処する事に
なりました。
現地修理の対応については、お客様にどのような作業を行うのか、また、その際にお願いを
させて頂く事などが多いので、事前のご連絡やご相談はとても大切です。
今回は現場(室内)での作業となりますので、作業する場所の確保(他の家具の移動)を
お願いさせて頂きました。
お客様の大切なテーブルに傷、汚れがつかないよう綺麗な布団でしっかりと養生をして、
↑「毛引き」 の刃部を30ミリ伸ばし設定 ↑刃部を脚周辺に当てながら印付け
まずは、カットする部分に目印をつける作業を行います。
「毛引き(けびき)」という道具を使い、脚の底面から30ミリの位置に平行に線を付け、カットする
部分の印付けをします。
↑目印としてマスキングテープ貼り付け ↑手引きノコギリでカットしていきます
カットは手引きのノコギリで行います。毛引きで印付けした線に沿って、マスキングテープを
貼り付けていきます。これはカットラインの目印と作業の際に木が欠けてしまうのを防止する
為です。 作業はマスキングテープのラインから外れないよう、全集中で切っていきます。
↑ヤスリで研削 ↑面取り加工
ノコギリでカットしたあとマスキングテープをはがし、角張った切断面をヤスリで研削します。
仕上げに紙やすりでざらつきの無いよう研磨し仕上げます。
この作業を「面取り加工」といいます。 脚断面の周辺を面取りする事で、使用中脚に割れ、欠けが
起らないようにするのと、床に傷を付けにくくする為のもの。
面取り加工後、木地の塗装がなくなった角に塗料で色付けし、見た目の配慮を施します。
なお、あえて底面に色付けしないのは床材に塗料を付着させない為と、床材に使用している
塗料と化学反応(変化)を起こし、表面を傷めてしまう場合がある為です。
※一般的な保護処置として、フェルト(緩衝材)を脚裏に張り付けて床への不具合を防止します。
残り3本の脚パーツも同様に加工して完了です。
お客様より「今までは何となくテーブルの圧迫感があったが、30ミリ低くなったことで
落ち着いた感じでリラックス感が増したような感じですね。」と大変喜んでいただけました。
テーブルの高さは690ミリから660ミリへと30ミリダウンしたわけですが、食堂椅子の
シートの高さとの兼ね合いと、お客様の身長等々の兼ね合いでリラックスできるテーブルの
高さ加減は決まるのだなと感じました。
■今回の修理費用は、
カット工賃 ¥7,000
出張費 ¥5,000
合計 ¥12,000(税別)
2021年8月現在価格になります。