2024年2月の記事

こんにちは。カリモク家具メンテナンス課です。

今回ご紹介する修理品は、かなり古い年代のもので購入時期が不明との事でした。

調べてみると当社に現存する一番古いカタログデータ(1970年発行)に掲載されていたのを見つけ、

少なくとも54年前には販売されていた「カラースツール」という商品です。

 

修理内容はシート部の張替という事でしたが、脱着式シートの裏面に樹脂製の縁取りパーツが付いて

おり、破損がひどい場合は代替素材を用いて対処しなければならないという事でした。どのようなものか

分からない事もあり、商品が入荷されてから対処を検討する事にしました。  

 

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【左:当時のカタログ掲載ページ 右:入荷されてきた修理依頼品】 

 

カタログで確認したところシート生地はオリジナルで、当時の姿形をそのまま保持していました。

商品名称は「背付椅子」(品番S-15TH)というもので、当時の販売価格は¥5,000でした。

この商品は他に背もたれ無しの椅子も有り、その商品はシートを外して別売の丸型天板に乗せ換えて、

画像のようにセンターテーブルとして使用する事もできました。 

 

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シートは椅子本体に対して乗せるだけの形態となっており、その下は物が収納できるようになっています。

シート裏に検討課題となっていた樹脂製の縁取りが配置されています。  

 

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樹脂材は若干汚れや変形など有りますが、再利用可能と判断して丁寧に外していきます。 

 

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表張材も綺麗に剥がせました。木製の座板に割れは無く補強は不要なようです。

ウレタンクッションはそれぞれ硬さが異なる、グレー色のチップウレタン、ベージュ色のスラブウレタンの

二層構造にして座り心地の改善にも配慮していきます。  

 

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ウレタンクッションを木製座板に綺麗に接着する事が出来ました。検討課題となっていました座裏の

樹脂パーツも綺麗に装着でき、椅子本体に支障なく乗せ置く事ができました。尚、裏面にはグレー色の

不織布を張り、見た目も配慮しておきました。 

 

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今回指定された張材は人工スエード「ディナミカ」。生地の素材感が椅子のデザインにマッチして

50年以上昔の製品とは思えないほど、違和感なく仕上がりました。

 

■今回の修理代金: 

シート張替工賃、張替材料費含め ¥15,200 (税別)※当時価格

 

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今回修理した椅子は、1970年のカタログに「従来の家具のイメージをカリモクが破りました。

新しい時代の若い世代に問い掛けた、新しい家具です」と謳ってありました。

この年は、「人類の進歩と調和」をテーマに国家プロジェクトとして大阪で万博が開催されたそうで、

国内の世相もかなり激しく変化し活発な活動があった時代だと思います。そうした背景が感じられる

意欲的な製品の修理に携われた事はすごく楽しく有意義な仕事でした。ありがとうございました!

2024年4月

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