2020年3月の記事

こんにちは・・・・神戸営業所メンテナンス課です。

今回ご紹介する修理は、セパレートタイプの革張りソファー 

(品番:ZS5858WW) 木製アームトップの剥き取り再塗装修理です。

アーム部分はナラ材無垢仕様で、ナラの木目が映えるボリューム感のある

デザインとなっており、修理できれいに復活が期待できるものです。
 

■今回の修理ご依頼品について
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修理依頼品は右肘付きの一人掛け仕様の椅子で、シートの置きクッションは
外してありました。革部分は傷んでいませんが、アームの塗装状態はかなり
劣化が進んでおり、塗面がペラペラ剥がれ落ちるほどもろくなっています。 
 
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状態をよく見てみると、塗膜層の傷みがひどいくらいで木部の傷、
割れ等のひどい箇所は無いようです。

修理作業の段取りは、椅子本体からアーム部分を外す事から始めます。

それでは、早速作業にかかります。

 
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まずは、椅子本体を裏替えして、プラスチック脚を外し、

さらに底張り地を外すと、椅子の内部が現れます。

アームは画像のようにボルトで留まっており、スパナを使い外します。

取り外した木製アーム。

革がかぶさっていた部分(矢印部)は塗面がきれいなのがわかります。

 

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①サンダー工具を使い塗膜を研磨、除去していきます。

②塗膜を完全に除去したあと、下地塗装を施します。

 ウェス(布巾)を使い、よく擦り込みます。
 
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③次にサンディングシーラー剤を塗布します。サンディングシーラーとは無色透明で、
  吸収性が高い木材に仕上げ塗料が吸い込まないようにする為と、塗料の密着性を 

  良くして美しく仕上げる事が出来るようにする為のものです。

④シーラー剤が乾燥した後、ペーパーで表面を研磨します。

  なお、このシーラーを塗布、研磨する工程は2回行います。

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⑤次に着色剤を吹付け、目的とする色に合わせていきます。

 今回はアメリカンウォールナット色という当時の仕様色を使います

 (現在、同色仕様の現行製品はございません。)

⑥着色が完了しましたら、最終工程の仕上げ剤(ウレタンフラット剤)を

 塗布致します。仕上げ剤は艶度数が色により異なっており、

 今回の指定度数は7部消しです。乾くと落ち着いた艶になります。

 

塗料が完全に乾燥したらアームを取り付け、

金巾張り込み、プラスチック脚取り付けて完成です。
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塗装工程の手順通り、一つ一つの工程を着実に修理対応をさせていただきました。

ナラ材の木目もきれいに出て問題なく、仕上がりました。

ありがとうございました。

■今回の修理費用

肘木部再塗修理 9,800(税抜)

別途お預かりお届け往復運賃が必要になります。

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20203月現在価格往復運賃¥6000(税抜)となります。

 



こんにちは・・・・多摩営業所のメンテナンス課です。

今回は、約13年~15年程ご使用の食堂椅子で、合成皮革の表面が硬化し、
柔軟性が無くなり破れが発生してしまったので、総張替え修理のご依頼を

4脚承りました。
 
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このモデルは、「人間工学」に基づく座りごこち研究から生まれた椅子として
モタレと座面シートは椅子本体に直接張り込んである為、張替え修理の場合

一旦分解して既存の張材を剥がす事からスタートします。

 
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早速修理作業を開始します。

まずはモタレ張材の剥がしから始めます。

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①モタレ部の左右、下部に取り付けてある玉縁を取り外します。

②玉縁を外すとタッカー針が見えます。目打ち工具で1本づつ針を持ち上げてゆき、
その後ニッパーで取り除きます。 その際に、露出している木部には傷を付けないよう
慎重に針を除去しなければならない最初の難関作業です。

 

シート部も同様に、玉縁を外した後タッカー針を木部に傷を付けないように除去します。
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③モタレ、シート共に表張地を剥がした状態です。
 ウレタンは劣化して黄色く変色しています。

④接着されているウレタンをヘラ状の工具で丁寧に剥がしていきます。

⑤古いウレタン材がきれいに剥がし取れました。

 

次に新しく入荷されてきたパーツを使い、張り付け作業へと移ります。

パーツの点数が比較的多い為、数や内容、取付順序等、間違いが無いか

事前にしっかりと確認をしておきます。
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それでは、まずシート部から張込み作業に取り掛かります。
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⑥布バネ(黒色部)を設定されている数値の強さで引っ張り、張り付けます。

⑦ウレタンを乗せ、周囲には別の薄いウレタンを巻き接着します。

⑧角が出ないよう小口部分も含めしっかりと接着します。この部分が剥がれてしまうと、
のちにシートの側面形状が歪んできてしまう恐れがあります。
 
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⑨シート用縫製張地を、ウレタンへ的確に位置合わせをしながらかぶせていきます。

⑩縫製張地の周囲を、木部の溝にエアータッカーで留めてゆきます。

 のちに溝に沿って玉縁を装着してシート部の作業は完了です。

 

次にモタレ張替え作業に取り掛かります。
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⑪下張りテープとクロスを木枠に位置合わせして、シワが無いように張り付けます。

⑫モタレ専用のウレタンをかぶせ、一部分をタッカーで留め固定させます。

⑬縫製品をかぶせ、エアータッカーで張り付けていきます。
シワ、凹凸が出ないように張り付けるのがかなり難しく、第2の難関作業といえます。 

 

最後に玉縁を装着し・・・・

すべてを組み付けて、作業が完了しました。
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かけ心地の良い椅子でよく売れている商品ですが、修理については技術を
要するもので、張りの際にモタレトップ部分にシワが発生しやすく、難しい作業

でしたが全力で取り組ませて頂きました。

ありがとうございました。

修理費用

座面シート・背もたれ総張替え¥32,400×4脚

往復運賃¥10,000

合計¥139,600(税別)

以上、20203月現在価格になります。  





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