今回ご紹介する修理品は、かなり古い年代のもので購入時期が不明との事でした。
調べてみると当社に現存する一番古いカタログデータ(1970年発行)に掲載されていたのを見つけ、
少なくとも54年前には販売されていた「カラースツール」という商品です。
修理内容はシート部の張替という事でしたが、脱着式シートの裏面に樹脂製の縁取りパーツが付いて
おり、破損がひどい場合は代替素材を用いて対処しなければならないという事でした。どのようなものか
分からない事もあり、商品が入荷されてから対処を検討する事にしました。
【左:当時のカタログ掲載ページ 右:入荷されてきた修理依頼品】
カタログで確認したところシート生地はオリジナルで、当時の姿形をそのまま保持していました。
商品名称は「背付椅子」(品番S-15TH)というもので、当時の販売価格は¥5,000でした。
この商品は他に背もたれ無しの椅子も有り、その商品はシートを外して別売の丸型天板に乗せ換えて、
画像のようにセンターテーブルとして使用する事もできました。
シートは椅子本体に対して乗せるだけの形態となっており、その下は物が収納できるようになっています。
シート裏に検討課題となっていた樹脂製の縁取りが配置されています。
樹脂材は若干汚れや変形など有りますが、再利用可能と判断して丁寧に外していきます。
表張材も綺麗に剥がせました。木製の座板に割れは無く補強は不要なようです。
ウレタンクッションはそれぞれ硬さが異なる、グレー色のチップウレタン、ベージュ色のスラブウレタンの
二層構造にして座り心地の改善にも配慮していきます。
ウレタンクッションを木製座板に綺麗に接着する事が出来ました。検討課題となっていました座裏の
樹脂パーツも綺麗に装着でき、椅子本体に支障なく乗せ置く事ができました。尚、裏面にはグレー色の
不織布を張り、見た目も配慮しておきました。
今回指定された張材は人工スエード「ディナミカ」。生地の素材感が椅子のデザインにマッチして
50年以上昔の製品とは思えないほど、違和感なく仕上がりました。
■今回の修理代金:
シート張替工賃、張替材料費含め ¥15,200 (税別)※当時価格
今回修理した椅子は、1970年のカタログに「従来の家具のイメージをカリモクが破りました。
新しい時代の若い世代に問い掛けた、新しい家具です」と謳ってありました。
この年は、「人類の進歩と調和」をテーマに国家プロジェクトとして大阪で万博が開催されたそうで、
国内の世相もかなり激しく変化し活発な活動があった時代だと思います。そうした背景が感じられる
意欲的な製品の修理に携われた事はすごく楽しく有意義な仕事でした。ありがとうございました!
]]>当社のロングセラー「コロニアルシリーズ」が今年発売50周年を迎えました。
カリモクで一番長く販売されている製品という事もあり、ご愛用されているお客様は数多く
いらっしゃいます。 それに伴い修理を依頼される事の多い製品でもあります。
今回は前回に続きコロニアルシリーズ商品の修理をご紹介します。
内容は食堂テーブルの天板再塗装修理です。
修理依頼品は、品番:DC4001JK 天板は円形仕様の食堂テーブルです。
サイズは120cm×120cmで、約20年ほど使用されているものですが、経年劣化により表面のツヤが
無くなり、小傷や汚れでかなり痛々しい状態になってしまっています。
作業は洗剤やシンナーなどで表面の汚れを除去した後、サンダー工具を使い塗膜を剥がして
いきますが、この製品は突板天板の為剥がし作業は慎重かつ丁寧に行わなければなりません。
【突板天板を慎重に剥がす理由】
天板は突板(つきいた)仕様と無垢(むく)仕様の2種類が有り、突板は天然木を0.3~0.6ミリほどに
薄くスライスして、厚みがある合板や繊維板などの表面に圧着したものです。そのため、無垢材と違い
剥がし過ぎると木目柄が無くなる恐れがあるからです。
天板のきわは削れやすいので、慎重にサンダーで剥がしてきます。
既存の塗膜を綺麗に除去した後、木地着色、中塗り、補色、上塗り工程を行っていき、
完成しました。コロニアルシリーズ特長のアンティーク調にうまく再現出来ました。
天板きわの部分も綺麗に仕上がりました。
今回の修理代金は、
作業工賃¥47,000(税別)
※傷の深さにより傷痕が残る場合がございます。
※UV仕様、ポリエステル樹脂仕様の天板は再塗装修理はできません。
※預かり修理対応となりますので別途運搬費要します。
【予めご了承ください】
]]>
当社のロングセラー「コロニアルシリーズ」が今年発売50周年を迎えました。
カリモクで一番長く販売されているシリーズ商品という事もあり、大変多くのお客様に
ご愛用されていますが、それに伴い修理を依頼される事も多くございます。
今回は、コロニアルシリーズの中でも修理依頼が多い食堂椅子の①籐張替修理と、
食堂椅子本体ぐらつきによる②再接着修理をご紹介します。
藤張替 再接着修理
品番:CC3100GK 品番:CC1817
●コロニアルシリーズ 食堂椅子CC3100GK モタレ籐張替・完成品シート交換修理
今回ご紹介するCC3100GKモデルはモタレに籐を張った製品で、1985年から2001年まで
販売された人気商品でした。
販売終了後20年以上経過した現在も数多くのお客様にご愛用されており、それに伴い修理依頼も
増えてまいりました。中でも多いのが籐の破れによる張替修理です。
藤の修理は大きく分けて剥がし作業、張付け作業、塗装作業の3つを経て完成となります。
剥がし作業は、専用工具を用いて丁寧に剥がしていきます。
新しい籐は、タッカー工具を使い張り込んでいきます。
籐は張り込む前に水に浸けておき、柔らかくなじませやすいようにしています。
張り終えた籐は乾燥の為1日時間を置きます。
1日乾燥させたのち、籐のケバをニッパー工具やバーナーなどで焼いたりして除去します。
周辺の木部は状態にもよりますが上塗り剤を塗布した方が良いと判断したら、それに備え
ペーパーで空研ぎをしておきます。
①塗装はスプレーガンで木地着色したあと、②シンナーを染み込ませたウエスを使い摺り込む
ように拭き取っていきます。 その後下塗り、中塗り、補色を行い塗り重ねていきます。
③アンティーク調に濃淡を付けて塗布し、コロニアルシリーズの外観特長を表現させていきます。
塗装後乾燥の為1日置いておき、翌日ケバ取りや革当てによる磨きを行う最終の作業を経て
完了です。今回シート完成品は、人工スエード「ディナミカ」仕様。
修理によって古く傷んだ椅子がきれいに再生しました。
■今回の修理内容:
モタレ籐張替、シート完成品交換
張替、シート交換 工賃単価 ¥19,600 (税別)
シート完成品 単価 ¥17,900(税別)※張地により価格は異なります
合計 ¥37,500(税別)
●コロニアルシリーズ 回転式食堂椅子CC1817NK 木部再接着修理、回転盤交換修理
CC1817モデルは、1992年から2019年まで販売された人気商品で回転式の他、回転しない
タイプも選べる商品でした。(現在は同デザインで回転盤にストッパー機能を追加した仕様に
変わり、品番はCC1837にて販売中です。)
販売が開始されたのが32年前という事もあり、販売初期に購入されたお客様より、脚周りの
ぐらつきを直して欲しいという修理依頼が増え始めています。
椅子本体のぐらつきは、各接合部の接着切れによって起こる場合が多く、修理は接合部すべてを
一旦バラバラに分解して、新しい接着剤を塗布し再組付けしていきます。
①どの脚とどの桟がどこに接合されていたか、分かるようにマスキングテープでマーキングを
付けておきます。
②あて木をしてプラスティックハンマーでたたいて分解していきます。
③基本的には叩いてはずせるものはすべて分離させますが、しっかりと接着がきいている箇所は
無理せずそのままにしておきます(叩き過ぎて壊してしまう恐れがあり、見極めが必要)。
④接合部の差込口に付着している古い接着剤はノミやペーパーヤスリを使い除去します。
⑤脚側の付着した古い接着剤もヤスリで完全に削り落とします。
⑥桟のさしこみ穴の掃除は、今回ドリルで作業しました。
⑦エポキシ接着剤は少し塗料を混ぜておきます。
これで接合部の隙間や色落ち部分を目立たなくさせます。
⑧接着は「ハタガネ」工具を使います。
ハタガネを使うことで部材を合わせ挟み、固定し圧着させます。
⑨圧着ではみだした接着剤はウエスを使うなどして除去します。
画像のように筆を使うと角の部分からはみ出た接着剤をよりきれいに除去する事が出来ます。
➉エポキシ接着剤は完全に硬化させる為、一昼夜時間を置きます。脚4本のバランスが
狂わないようにガラス板に乗せ硬化するのを待ちます。
⑪脚部の接着剤が硬化したのを確認後、新しい回転盤を取り付けます。
回転盤の交換目安としては回転がスムーズに動かなくなる他、画像のような黒い鉄粉が
噴出してくる事も目安となります。 ベアリング式の回転盤は丸く縁取った内部に小さい
鉄球が多数入っており、これが摩耗劣化する事で黒い鉄粉が出てきます。
今回の修理で脚のぐらつきも無くなり、回転盤も「新品に交換したことで購入当時の
しっかりと安定した座り心地を取り戻す事が出来ました。
]]>
今回ご紹介する修理は、学習机の上置棚(品番:AT0571MY)キズ補修です。
学習机「ボナ シェルタ」シリーズの組み合わせアイテムとして好評をいただいている商品で、
ボナシェルタシリーズのデスクにもワゴンにも取り付け可能で、使い方の変化に合わせて
組み替えができます。
入荷された修理依頼品は後部に損傷を受けており、変形して一部の塗膜がはがれてしまっています。
修理方法はいろいろありますが、今回はパテ埋めによる修理ではなく、出来るだけ破損した下地を
そのまま使っての修理をすることにします。
この修理に使う道具として、
①霧吹き、アイロン。 霧吹きで破損した部分に水をかけたあと、木材の特性を生かして、
アイロンで熱を加え押しつぶれたところを膨らませます。
②瞬間接着剤、目立て、サンドペーパー。ある程度形を整えたあと瞬間接着剤で固め、
目立てなどで表面を研磨してかたちを維持させます。
③ホットナイフ、ハードワックス。 ハードワックスで近い色をつくり、ホットナイフで
溶かしながら表面に付けてふたたび形を整えます。
①②③の道具で補修したあと、上塗り用のエアゾールを塗布しツヤ合わせして完了です。
一度ついたキズを無くすことはできませんが、出来る限り目立たないように
していく作業です。
状況や状態に良し悪しが出ますが差をなくすよう、また、お客様に喜んで頂けるよう
まい進します!
今回の修理代金は、
作業工賃¥3,000(税別)
]]>
今回ご紹介する修理は、20年ほど前に納入された病院の病棟内で使用されている
食堂椅子の木製アーム部再塗装修理です。
再塗装修理は作業の工程数が多く時間がかかるため、病院業務に支障がでないよう
総数10脚を5脚ずつ2回に分けて修理を行う事になりました。
↑修理工房に入荷されてきた食堂椅子。
20年ほど使用された椅子とは思えないほど椅子本体のガタツキや張地破れは起きていませんが...
よく見ると、木部にキズや色ハゲなどが出来てしまっており、とくに手や腕が触れるアーム部分は
もっともひどく傷んでしまっています。
塗装作業の前準備として、モタレやシート部分は塗料が付かないようビニールをきれいにかぶせて
保護します。なお、シートの角は張地と木部が接触しているため、張地に色が付かないよう周辺の
張地をはがしておきます。
次に塗膜をはがしていく作業にかかります。サンダー工具などを使い、木地が出るまできれいに
むき取っていきます。サンダーが使えないキワ(右画像矢印)の部分はサンドペーパーを使い、
手で丁寧にむいていきます。
①付いていた塗膜はすべてむき取られました。
②下地処理としてウエス(布)をつかって目止め剤をすり込んでいきます。
目止め剤は塗料が必要以上に木に染み込まないようにする事と、木部表面をなめらかにして
見た目を美しくする為のものです。 のちの着色にムラが出ないようしっかりとすり込んでいきます。
③次にスプレーガンを使い、中塗り処理としてサンディングシーラーを塗布します。
サンディングシーラーは厚塗りする事で、乾燥後サンドペーパーなどで研磨し、表面をよりなめらか
にして質感をアップさせたり、塗料の密着性と耐久性を向上させます。
④乾燥後サンドペーパーで表面を研磨していきます。
サンドペーパーは#400番を使います。 #400とはペーパーの目の粗さを指す数字で、
番手という単位で表します。番手の数字が大きいほど目はきめ細かくなります。ちなみに
400番は塗装前の処理に適した番手となります。
⑤全体の研磨が完了後、着色塗料を塗布します。 名称はアーバンコニャック色。
台数は5脚あるので、色の濃さ加減を見極めながら着色していきます。
⑥最後に仕上げとなる上塗り剤(ウレタンフラット)で塗装をして塗膜とツヤ合わせをします。
今回はオリジナル同様に4分ツヤ消しにしました。
吹き付けの加減を調整して塗料のタレやざらつきがでないように丁寧に吹き付けていきます。
乾燥後、一部はがしていたシート張地を元に張りもどしてすべての修理作業が完了しました!
20年ほど前に、医療施設へ一括納入した椅子のリフレッシュ修理でしたが、
アーム木部のみの再塗装修理でも、椅子が見違えるように綺麗になったということで、
ご依頼先に大変喜んでいただけました。
やはり、修理後にご依頼先からお褒めの言葉をいただけると嬉しいものですね。
【修理費用】
技術料金 1台 \18,000円 ×10台 ¥180,000
配送経費 1台 ¥2500円 ×10台 ¥25,000
合計 ¥205,000(税別) ※当時料金
]]>
今回ご紹介する修理は、※「うづくり仕上げ」和風民芸調リビングチェアです。
肘掛け部分の塗装が剝がれ傷んだ為、再塗装の修理をご希望されているものでしたが、
修復には木表面を剥き取る場合が多く、その際に表面の「うづくり仕上げ」が消えて無くなって
しまう事がある為、お客様へは事前にご理解をお願いし了承頂いての修理となりました。
※うづくり仕上げとは・・
◆今回の修理依頼品は、和風民芸タイプのリビングチェア(品番:GX49**)です。
2000年~2007まで販売されていたモデルで、当時取り扱い店が限定されていた商品でした。
木部フレームとモタレ、シートクッションは別売設定されており、クッションは4種の張地から選べる
ようになっていました。
↑お預かりした椅子は4脚です(両肘×1・片肘×2・肘無×1)。
肘部分の塗膜が経年劣化に伴い、木材表面の先端部分の塗膜は剥がれてしまっています。
「うづくり仕上げ」の為、くぼみの深い箇所は塗料が残っている為、傷んだ部分がより目立った
状態となってしまっています。
修理作業の段取りとして、まずは①写真の掃除道具を使用して木部全体を洗浄し、表面の汚れなどを落して
乾いた布で全体を拭き上げて行くのと同時に、キズ・欠け・塗膜の状態も確認していきます。
状態として塗膜の剝がれや細かな凹みキズ、皮脂などの汚れはありますが、この程度なら既存の塗膜を
ある程度残しつつ、うづくりの風合いをそのままにした修理が出来そうです。
つぎに、
②新たに塗布する塗料の密着性を高める為、#150・200・320番の順番で、サンドペーパーで空研ぎして
いきます。 なお、全体のペーパー掛けはすべて手作業で行っていきます。
この段階で凹み・欠けなどの修正をし、塗装の仕上がりをイメージしながらペーパーの剝き取り方に
強弱を付けて作業して行きます。
【次に行う 塗装の工程について】
塗装の工程は大まかに、③木地着色・下・中塗り・空研ぎ→④補色・上塗りの順で作業し、剥いた部分も
スプレーガンを調整しながらボカシを作り、オリジナルに近い塗装へと再現させていきます。
「うづくり」の風合いも壊れず、色のぼかしも再現し上手く仕上がりました。
現物の状態を確認して修理方法を検討しましたが、判断に間違いは無かったようです。
最後に、エラストフラムの交換とニードルフエルトを張り替えてすべての修理が完了しました。
「うづくり」仕様の再塗装修理という事で、お客様には条件つきでの修理というご提案でしたが現物の状態と
「うづくり」という特性を極力無くさない方向で検討した結果、より難儀で技量を伴う作業となりましたが
上手くまとめられたと思います。
これからも末永くご愛用頂けると幸いです。
今回の修理代金は、
部品代\5,200+作業代\87,200=合計\92,400【税別)
※当時の価格です
]]>
今回ご紹介する修理は、小物家具(電話台)本体がぐらついてしまい、使用に支障が出てしまっている
というものです。 購入されてから約35年ほど経過した状況で、各接合部の接着剤が劣化してしまった
可能性があります。
◆今回の修理依頼品は、「グランドコロニアル」シリーズ、電話台(品番:AX1150WL)です。
当社のロングセラーシリーズ「コロニアル」シリーズの上級シリーズとして、小物家具の他、リビング
ダイニング商品も設定されたフルアイテムシリーズでした。
アメリカ開拓時代の民芸家具をデザインベースに、大陸特有の砂嵐による風化現象をイメージ
させる為、※「サンドブラストフィニッシュ技法」を駆使して製作されたものでした。
※サンドブラストフィニッシュとは・・
お預かりした製品は脚部接合箇所の接着剤が切れ緩んでしまい、全体が大きくぐらついてしまう状態です。
そのため、修理は構成されている各パーツをバラバラに分解した後、接着剤を塗布し再組付けを行う事
になります。
まずは、①上部収納部と脚部の組付けねじを外していきます。②収納部分が外れた状態です。
その後も各構成パーツを丁寧に外していきます。
↑すべてのパーツを外した状態です。
分解作業の際は、同時に汚れや古い接着剤の残りカスなどをきれいに除去していきます。
こうして見ると小物家具ですが各パーツは精密に造りこみがなされており、割れや大きな変形などは
有りませんでした。 パーツの点数がかなり多いので組み戻しの際は間違わないよう、各パーツに
ナンバリングを付け整理しておきます。
脚部の各接合部に接着剤を塗布し、ベルトで固定圧着します。
接着剤は2液タイプのエポキシ接着剤を使用。速乾性ではない為、乾燥固着させる為丸一日この状態で
乾燥させます。
乾燥中の状態時を利用して、面相筆を使い一部の色剥げ部分を補色補修しておきます。
翌日、ベルトを外して各接合部位の固着を確認後、上部収納部を元通りに組付けてすべての修理作業が
完了しました(前面のスライド天板も無事可動しました)。
お客様より、新婚当初に購入した思い入れのある製品で、約35年ほど使い続けて今回初めて修理の
依頼をされたのだそうです。
電話台という名称の製品も絶滅危惧種的なもので、現在このような造りこみの商品は市場にもなかなか
無いものですし今回はそうした背景もあり、いつも以上に気持ちを込めて修理させて頂きました。
ありがとうございました。
■今回の修理代金は、
作業代 ¥9,000(税別)
]]>
今回のご紹介は、リクライニングチェア、オットマンのクリーニングです。
※スエード調の人工皮革を張ったリクライナーのクリーニングが出来ないか、というご相談が
当社お客様相談室に寄せられ、ご対応する事になったものです。
クリーニングは高圧洗浄と吸水洗浄を行う為、織りや品質感が独特な人工スエードは
クリーニング実施後生地を傷めたり風合いが変わってしまう恐れが有り、お客様へは
その点のご理解とご了承をいただき今回実施する運びとなりました。
◎弊社ホームページのクリーニングに関する注意事項では、以下の通り明記させていただいています。
お預かりした椅子の状態は汚れが染み状に変色しており、リクライニングチェアはアーム、
シート部が特に汚れている状態。 オットマンは若干汚れは薄い状態ですが表面全体に
染みついた状態です。
同色の張地サンプルで色の違いを確認しておきます。クリーニング後も確認し、色合いの
目安とします。クリーニングには以下の機器を使います。
①スチームクリーナー: 高温の蒸気を当て汚れを分解。殺菌消臭も期待できます。
②リンスクリーナー : 洗剤で落ちた汚れを水ですすぎ、その水の吸水もします。
【クリーニング作業】
①まずは、専用の洗剤を全体に噴霧していきます。
②ブラッシングをして洗剤を浸透、汚れを浮かせていきます。
③スチームクリーナーを使い、高温のスチームで繊維の奥まで洗浄します。
④リンスクリーナーで水を噴射して汚れを洗い出しながら、バキュームで汚水を吸い込んで
いきます。
⑤吸い込んだ汚水はリンスクリーナーに設けてあるバケツに流れ込む仕掛けになっており、
ご覧のようにかなりの汚れが吸い出されたのが確認できます。
⑥同色のサンプルで再確認。濡れているので色調の濃淡差有りますが、乾けばかなり近い
色調になりそうです。
オットマンで約60分の作業時間を要しました。リクライナーも同様の手順で作業を実施し、
約2時間半ほど要し、合計3時間半掛けこの日の作業は終了しました。
一旦乾燥時間を設け、後日最終洗浄(濯ぎ作業)を実施します。
【最終洗浄後】
後日2回目となる作業を実施。 薄茶色の汚れが消え、清潔感のあるライトブルーが復活
しました。 作業後約1週間程乾燥させたのち、ブラッシングで表面をならし完了しました。
張地サンプルとの色差もほぼ無くなりました。
人工スエードの張材は生地の特性上、洗浄後に表面にスジが入ったり風合いが変わって
しまう恐れも有りましたが、その点を意識しながら丁寧に時間を掛け作業させて頂きました。
張地に大きなダメージも無く終える事が出来、良かったと思います。
今回の修理代金は、
作業工賃¥16,800(税別) ・ 配送費¥7,500(税別)
合計 ¥24,300(税別)
※お預かり期間 3週間
]]>こんにちは・・・・西宮営業所メンテナンス課です。
今回の修理は、お客様宅で実施した食堂テーブルの幕板部分をのささくれ、補色修理を
ご紹介致します。
修理箇所はテーブル本体の「幕板」というもので、天板下の脚と脚との間に配置されている
長い板状の部分です。 この部材の役割としては、テーブル本体の補強や反りの防止、
デザイン性などが挙げられますが、
今回の傷みの原因として、経年劣化や出入りの際に膝などが接触するなどして塗膜が剥がれ
たり、角面にささくれなどが生じてきたようです。
修理の手順としては、まず速乾性の充填剤を塗布してささくれ部分を固めていきます。
充填剤が固着後、「目立てヤスリ」で凹凸した面を引っ掛かりが感じなくなるまでしっかりと
研磨していきます。
幕板の角面全体が平滑に出来たら、下処理の仕上げにスチールウールで表面を軽く研磨して
ならしておきます。 次に面相筆を使い、色が剥げた部分に補色していきます。
補色が完了しましたら、エアゾール式の着色スプレーで色合いが自然な感じになるよう軽く
塗布しておきます。
塗装の仕上げは、ラッカーフラット(透明の上塗り剤)を幕板全面に吹き付け、艶合わせを
施してすべての修理作業が完了しました。
仕上がり確認を頂いたお客様から、いままで来客がある度にささくれで洋服を傷つけないかと
心配でしたが、これで安心してテーブルが使えるようになりました、と喜んでいただけました。
ありがとうございました。
修理代は
幕板修理技術料金 ¥7,700
出張費 ¥5,500
合計 ¥13,200(税込み)
※技術料金は当時の見積価格です。見積額は破損状態により異なります。
]]>今回ご紹介する修理は、食堂テーブルの脚ぐらつき修理です。
修理依頼品は一本脚仕様の丸型テーブル(品番:DC4001JK コロニアルシリーズ)です。
支柱を支える4本の桟が緩み、テーブル本体が不安定な状況になっていたそうで、
お預かり時、一本の桟は完全にダボ(部材同士をつなぎ合わせる際に差し込まれた
木製小片)が折れていました。
①残ったダボ材をドリル等で粉砕しながら抜き取ります。
②穴の内径が拡がらないよう丁寧にあけ直しを行うと同時に、深さも考慮しながら
作業します。
③新しいダボ材に接着剤を塗布して打ち込みます。
支柱と桟にエポキシ系接着剤を塗布して、「旗がね」工具で圧着します。
乾燥固着に約1日置いたのち、取り外しておいた補強金具を元の通りに取り付けて
完了です。
一見するとダボが折れ、桟もぐらつき外れそうになっていたりと、修復が
大変なことと思われるかもしれませんが、 我々作業者からすると難しい
修理ではありません。
しっかりと修理すれば、まだまだ末永くご愛用できます。
今回修理のご要請をいただきありがとうございました!
修理代は
修理技術料金 ¥3,850
預り料金 ¥5,500
合計 ¥9,350(税込み)
※2022年8月現在価格です
]]>今回の修理は金沢ショールーム修理工房にて作業しました、和風テイストの高座椅子
(品番:GF5015ZW)木部再塗装修理です。
このモデルは89年~03年まで販売されていたリビングダイニング兼用で使える椅子で、
今回お預かりした椅子は約20年ほどの長きにわたりお使い頂いている事もあり、背モタレ
角面部分の色剥げがかなり目立ち痛々しい状態となっていますが再塗装を施す事で、見た
目の印象はかなり改善します。
高座椅子 GF5015ZW 工房に入荷された椅子。 今回シートの張替えは
幅640×奥行620×高さ730・座高300 しない為、フレームのみの姿で入荷。
最初の作業として、まずは椅子全体の埃や汚れを除去したのち、サンドペーパーで軽く
空研ぎをします。 これは再塗装するにあたり、新しく塗布した塗料が付着後剥離しにくい
ように施しておくもので椅子全体にペーパー掛けします。
次にスプレーガンを使い、まずは色剥げ部分を識別しやすくする目的で着色剤を薄めにして
全体に塗布しておきます。
局部的に色剥げしている角面部分には、筆で色差しをして色調を合わせていきます。
かなり手間のかかる作業ですが仕上がりぐあいに影響するとても大切な作業となります。
色差しが完了し、ベースとなる色調を整えました。塗膜が剥離した部分はこれでほとんど
目立たなくなりました。
次の塗装作業は、オリジナルに近い色調に整えていく工程になります。
指定されている仕様に調合をした塗料をスプレーガンで部分的に濃さ加減を調整しながら
バランスをみて吹き付けていきます。
最終の工程は上塗りウレタンフラット剤を塗布します。 無色透明のフラット剤を全体が
しっかりと濡れた状態になるようスプレーガンで吹き付けします。
吹き付け加減を誤ると塗面のざらつきの原因となるので熟練の技が必要となります。
ウレタンフラット剤は完全乾燥までは一昼夜乾燥時間が必要です。
今回の再塗装ではお客様の使い込んだ感じを残すために、オリジナル仕様よりやや艶感の
ある感じ(4分消し)で仕上げました。
食堂椅子の再塗装修理は、とても手間のかかる技術的な技が必要な修理ですので
仕上がって完成した修理品には、ある意味愛着が湧いてくるものです。
お客様の大切な家具が修理後にまたお客様の毎日の暮らしのなかで
使っていただける事が喜びになれば修理した職人としては嬉しいことです。
■今回の修理費用は、
工賃 ¥16,000×6脚
合計 ¥105,600(税込み)
2022年7月現在価格になります。
]]>今回の修理は、お客様宅で実施したデスク天板欠け修理のご紹介です。
原因は不明ですが天板の一部が欠けてしまったとの事で、このままの状態では
使いづらい事や見た目も悪い為、何とかならないだろうかとのご相談を、当社
お客様相談室に寄せられたものです。
依頼品は、デスク(品番:ST3578UL 樹種:ブラックチェリー材)で、
天板前面の角が約6cm程の長さで欠けており、取れた破片は無くなっている為、
欠損した部分に充填剤を使い、造形の再生修理を試みます。
充填剤は木の粉と接着剤を混ぜ合わせた自作のものを活用します。
木材料を使うので木製品との相性が良いのと、接着剤は硬化促進剤を塗布する事で
硬化後すぐに整形研磨が出来るので、短時間で修理に取り掛かる事が出来ます。
充填剤が硬化後、形作りを行います。
①ヘラ(ノミの代わり)で粗削りをします。
②目立てヤスリで形つくりを行います。
③カッターの刃を使い更に平滑に仕上げていきます。
造形処理完了後、次は色合わせを行います。
自前の塗料を調合して色を作り、面相筆で木目を描くように色付けを行います。
色付け後、エアゾール式の上塗り剤を塗布して艶合わせをします。
滞在時間、約1時間にてすべての作業が完了しました!
現地での修理作業という事で、事前に行ったイメージやアイデアを活かし
敏速かつ丁寧に完了させる事ができました。
ありがとうございました。
修理代は
修理技術料金 ¥6,600
出張費 ¥5,500
合計 ¥12,100(税込み)
※2022年7月現在価格です
]]>こんにちは多摩営業所メンテナンス課です。
今回ご紹介する修理は、25年間ご愛用されている食堂椅子の組み直し、木部の再塗装、
表張材の張替えという、フルコースでの修理です。
修理は作業途中に支障が出ないよう、
本体の再接着修理 ➡ 木部の再塗装 ➡ 張替え修理 の順番で修理プランをすすめます。
お預かりした椅子の状態は、本体にぐらつきが発生しているのと塗膜の劣化や擦り傷などで、
それなりの傷みが生じていますが、割れや欠損といった箇所は無く、既存の部材そのままで
修理再生が可能な状態です。
しかし革製の張材は深い傷が付き破れてしまっている為、張替える事になります。
【本体の再接合修理】
①全体を中性洗剤で洗浄後、座面とモタレの張り材を木部に傷をつけないように剥がします。
②新しい接着剤を塗布する為、一旦バラバラに分解します(古く残った接着剤は除去します)。
③再組付け時に接着剤をしっかりと塗布しバンドで絞めて圧着して、一日乾燥させます。
【木部の再塗装】
④翌日木部にペーパーヤスリで空研ぎし塗装表面の下地を整えます。
⑤ペーパーヤスリによる空研ぎは画像のように木部全体に施します。
⑥つぎにウエスを使い、剥げている部分に塗料を刷り込んで着色します。
⑦深い傷部分は筆で色をさします。
⑧スプレーガンを使い、サンディング~補色~フラットの工程を経て再塗装修理は完了です。
【張替え修理】
⑨⑩張材は新たに工場で製作されたもの。裁断品、不織布、ウレタンクッション材、縫製品を
決められた順序でタッカー工具を使い、モタレ部分に張り着けていきます。
⑪シート部は完成品仕様の為、ビスで取り付けます。
これで全ての修理が完了しました!
なお、張材はお手入れが楽な合成皮革仕様となっています(シート面のステッチが無くなり
ます)。
しっかりした作り込みと厳選された高品位の素材を使い作った製品なので、今回のような
フルコースでの修理が可能だと思います。
これからも末永くご愛用頂けますと幸いです。
今回の修理代金は、
部品代\10,400+作業代\30,700=合計\41,100(税別)
※お預かり期間 3週間
]]>今回ご紹介する修理は、食堂椅子(品番:CS0235RW)シートの張替え、フレームの再接着
修理です。
お客様は二世帯でお住まいの方で、椅子は親御さんがお使いになっている品との事。
お預かりした2脚のうちの1脚は脚部を支える横桟が破損した為、新しい桟に交換取付けが
必要な状態です。しかし、かなり古い椅子な為、当時と同じ規格の桟パーツが手配出来ない
という事が判明。その為代替パーツで対応する事になりました。
↑過去に修理した形跡は無くオリジナル仕様を保った状態です。日頃より大事に扱われていた様子が
うかがえます。 右画像の黄色破線部に代替横桟を取り付けます。
作業は、まず椅子本体をゴムハンマーでたたきながら分解します。
脚にある穴の大きさでは代替パーツを取り付ける事が出来ない為、一旦充填材で
埋めてから、適した穴の大きさに空けなおして代替パーツを接合します。
接合には2液混合タイプの「エポキシ」接着剤を使用します。
バンドで締め付け圧着し、接着剤が固まるまでこのまま1日置きます。
工場より入荷したシート完成品を取り付け、すべての修理が完了しました。
選ばれたシートカラーはライムグリーン。明るく爽やかなイメージに変わりました!
約40年ご愛用頂いているという事で、これからも大切にお使いいただけますと幸いです。
■今回の修理費用は、
修理工賃 ¥10,000×2脚
シート完成品 ¥5,600×2
合計 ¥31,200(税別)
]]>今回ご紹介する修理は、ハイグレードブランド「ドマーニ クイーンズライフ」シリーズの食堂椅子
品番:CPQ455A029(全4脚)木部傷、補色・フラット再塗装、シート裏金巾張替え修理です。
今回は指定された箇所のキズ補修を重点に修理を進めます。
椅子の状態は4脚共に同じ様な箇所にキズが付いていますが、割れ、欠損といった酷いキズは
有りません。 尚、シートについては形状に崩れも無く綺麗な状態を保っており、今回張替えは行いません。
↑木部の割れ、欠損、歪みはありません。 シートの汚れや歪みヘタリなども無く、
パッと見は奇麗な状態です。
①は、4脚ともモタレトップに画像のような擦り傷、塗膜剥離が発生。生活上の作業行為
(手で触る、衣服や物が接触するなど)に伴い発生した傷です。
②は、モタレ左右に全く同じ高さにキズが付いています。これは椅子をテーブルに納める際に、
誤って側面に接触した回数が重なった結果、木部が凹み削れて塗装が剥離してしまった
ようです。
今回の修理作業として最初に行うのが洗浄作業です。
理由はキズの箇所に補色や上塗り剤を塗布するので、汚れによるくすみが有ると色が
綺麗に発色しない事や、塗布した塗料の密着度が落ちてしまう為です。
①清掃道具:水、中性洗剤、スポンジ、ブラシ、ウエスを用意。
②全体を軽く水拭きして洗剤を塗布します。
③スポンジで優しく擦り、汚れを落として再度水拭き後乾いたウエスで拭き上げます。
次にキズの修理に取り掛かります。
キズ部分は材料が削れてしまっている為、造形を復元させる為の充填材が必要な状況です。
修理方法はパテ、木粉、エポキシ等有りますが、キズが小さい事や時間の短縮など考慮し、
今回は瞬間接着剤を用いた修理を選択します。
①面相筆を使いキズ部分に、周りの色より濃くならないよう薄く色を挿していきます。
②瞬間接着剤を盛り付けた後ヤスリを使い、表面の形を整えていきます。 作業は修理箇所
以外の木部や塗膜を傷付けないよう慎重に行います。
③再び面相筆で、色々な角度から見て違和感が出ないよう補色していきます。
④上塗り剤(フラット剤)を塗布し、艶合わせをして完了です!
脚上部のキズです。
修理依頼はありませんでしたがキズが目立っており、きれいに修復した本体の印象を
少々損なう可能性があった為、今回は特別に修理を施しました。
シート裏の金巾も綺麗に張替えてすべてのミッションが完了です!
今回は明確に依頼された箇所のみを修理するという事でしたので、それ以外の
細かなキズや凹み等は残ります。
全体的にキズが有る物や塗膜が傷んでしまっている物は剥きとり再塗装修理を
お勧めします。
お客様が日頃からキレイに使われていたお陰でとても綺麗に仕上げることができました。
ありがとうございました。
■今回の修理費用は、
補色・フラット塗装修理工賃 ¥16,000×4脚
シート裏金巾張替え(材料費込み) ¥2,500×4脚
合計 ¥73,000(税別)
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