今回はお客様相談室窓口にお問い合わせを頂いた座卓の脚破損修理のご紹介です。
破損の状況は脚部と天板の接合箇所が折れて脚が外れてしまっています。
●まず、接着とともに、ダボ材を補強として取付ける修理を実施しました。
↑割れた断面にまんべんなく接着剤を塗布します。分離した脚部は
調整しながら、定位置に納めます。
↑若干、手で圧を掛けてから旗がね工具で圧着し、接着剤を固着させる為
一晩乾燥させます。はみ出した接着剤はきれいに拭き取っておきます。
↑翌日の様子です。接着剤はしっかり固着した状態でした。
若干はみ出して固まった接着剤は※「目立てヤスリ」などで除去します。
※「目立てヤスリ」:鋸刃を研ぐ為の道具ですが、裏表がヤスリで断面は菱形になっている為
平面を均一に研磨しやすく、今回のような作業にも活用しています。
↑欠損した部分(画像矢印)は瞬間接着剤に※木粉を混ぜて塗布します。
この対処は接着剤の硬化促進剤を塗布して瞬時に固め、
研磨整形の作業を速やかにできる為です。
※木粉(イメージ画像):混ぜる事で木材の質感に近い感じに固まる事や、この後の研磨作業、
着色作業のため欠損や凹みなどの補填剤として活用しています。
●接着作業は完了したので、次はダボ材を打ち込み補強する作業に取り掛かります。
ダボ材のサイズは強度と座卓本体の材の厚みなど考慮して10ミリ径のものを選択します。
↑ドリルの径を徐々に大きいサイズに替えながら孔を開けていき、最後は10ミリ径の
ドリルで穴を開けます。貫通させないよう気を付けていきます。
↑ダボ材は鋸で切った後、平滑に削っていきます。
妻手側(脚内側)は、側面がカーブしているので、その面に合わせてダボ先も削っていきます。
ダボ材による補強作業が完了したので・・・
●最後に塗装作業に取り掛かります。
座卓全体の色、艶に違和感が出ないよう補色と艶合わせを行っていきます。
まずは筆を使い補色していきます。
妻手側のダボ先端部と欠損した部分を補填した箇所も補色していきます。
ある程度加色ができたら「スプレーガン」に替えて補色作業を続けます。
「スプレーガン」で補色とフラット塗料(艶は10分消し) を塗布。
筆で補色した跡も消え、周辺との艶も違和感なくまとまりました。
塗料を霧状にして吹き付けるため筆や刷毛と異なり凹凸面にもしっかりと
塗装が施せます。
脚部の「三方留め継ぎ」部分の破損という事で、組付け部分の仕上げに隙間や色ムラが
出ないよう気をつけて仕上げました。末永くご愛用頂けますと幸いです。
ありがとうございました。
今回の修理費用
修理工賃 ¥7,000(税別)
■別途往復運賃が弊社手配の場合必要です。
2020年4月日現在価格になります。