こんにちは、北陸営業所メンテナンス課です。
今回ご紹介する修理は、20年ほど前に納入された病院の病棟内で使用されている
食堂椅子の木製アーム部再塗装修理です。
再塗装修理は作業の工程数が多く時間がかかるため、病院業務に支障がでないよう
総数10脚を5脚ずつ2回に分けて修理を行う事になりました。
↑修理工房に入荷されてきた食堂椅子。
20年ほど使用された椅子とは思えないほど椅子本体のガタツキや張地破れは起きていませんが...
よく見ると、木部にキズや色ハゲなどが出来てしまっており、とくに手や腕が触れるアーム部分は
もっともひどく傷んでしまっています。
塗装作業の前準備として、モタレやシート部分は塗料が付かないようビニールをきれいにかぶせて
保護します。なお、シートの角は張地と木部が接触しているため、張地に色が付かないよう周辺の
張地をはがしておきます。
次に塗膜をはがしていく作業にかかります。サンダー工具などを使い、木地が出るまできれいに
むき取っていきます。サンダーが使えないキワ(右画像矢印)の部分はサンドペーパーを使い、
手で丁寧にむいていきます。
①付いていた塗膜はすべてむき取られました。
②下地処理としてウエス(布)をつかって目止め剤をすり込んでいきます。
目止め剤は塗料が必要以上に木に染み込まないようにする事と、木部表面をなめらかにして
見た目を美しくする為のものです。 のちの着色にムラが出ないようしっかりとすり込んでいきます。
③次にスプレーガンを使い、中塗り処理としてサンディングシーラーを塗布します。
サンディングシーラーは厚塗りする事で、乾燥後サンドペーパーなどで研磨し、表面をよりなめらか
にして質感をアップさせたり、塗料の密着性と耐久性を向上させます。
④乾燥後サンドペーパーで表面を研磨していきます。
サンドペーパーは#400番を使います。 #400とはペーパーの目の粗さを指す数字で、
番手という単位で表します。番手の数字が大きいほど目はきめ細かくなります。ちなみに
400番は塗装前の処理に適した番手となります。
⑤全体の研磨が完了後、着色塗料を塗布します。 名称はアーバンコニャック色。
台数は5脚あるので、色の濃さ加減を見極めながら着色していきます。
⑥最後に仕上げとなる上塗り剤(ウレタンフラット)で塗装をして塗膜とツヤ合わせをします。
今回はオリジナル同様に4分ツヤ消しにしました。
吹き付けの加減を調整して塗料のタレやざらつきがでないように丁寧に吹き付けていきます。
乾燥後、一部はがしていたシート張地を元に張りもどしてすべての修理作業が完了しました!
20年ほど前に、医療施設へ一括納入した椅子のリフレッシュ修理でしたが、
アーム木部のみの再塗装修理でも、椅子が見違えるように綺麗になったということで、
ご依頼先に大変喜んでいただけました。
やはり、修理後にご依頼先からお褒めの言葉をいただけると嬉しいものですね。
【修理費用】
技術料金 1台 \18,000円 ×10台 ¥180,000
配送経費 1台 ¥2500円 ×10台 ¥25,000
合計 ¥205,000(税別) ※当時料金