こんにちは、中部メンテナンス課です。
今回ご紹介する修理は、※「うづくり仕上げ」和風民芸調リビングチェアです。
肘掛け部分の塗装が剝がれ傷んだ為、再塗装の修理をご希望されているものでしたが、
修復には木表面を剥き取る場合が多く、その際に表面の「うづくり仕上げ」が消えて無くなって
しまう事がある為、お客様へは事前にご理解をお願いし了承頂いての修理となりました。
※うづくり仕上げとは・・
◆今回の修理依頼品は、和風民芸タイプのリビングチェア(品番:GX49**)です。
2000年~2007まで販売されていたモデルで、当時取り扱い店が限定されていた商品でした。
木部フレームとモタレ、シートクッションは別売設定されており、クッションは4種の張地から選べる
ようになっていました。
↑お預かりした椅子は4脚です(両肘×1・片肘×2・肘無×1)。
肘部分の塗膜が経年劣化に伴い、木材表面の先端部分の塗膜は剥がれてしまっています。
「うづくり仕上げ」の為、くぼみの深い箇所は塗料が残っている為、傷んだ部分がより目立った
状態となってしまっています。
修理作業の段取りとして、まずは①写真の掃除道具を使用して木部全体を洗浄し、表面の汚れなどを落して
乾いた布で全体を拭き上げて行くのと同時に、キズ・欠け・塗膜の状態も確認していきます。
状態として塗膜の剝がれや細かな凹みキズ、皮脂などの汚れはありますが、この程度なら既存の塗膜を
ある程度残しつつ、うづくりの風合いをそのままにした修理が出来そうです。
つぎに、
②新たに塗布する塗料の密着性を高める為、#150・200・320番の順番で、サンドペーパーで空研ぎして
いきます。 なお、全体のペーパー掛けはすべて手作業で行っていきます。
この段階で凹み・欠けなどの修正をし、塗装の仕上がりをイメージしながらペーパーの剝き取り方に
強弱を付けて作業して行きます。
【次に行う 塗装の工程について】
塗装の工程は大まかに、③木地着色・下・中塗り・空研ぎ→④補色・上塗りの順で作業し、剥いた部分も
スプレーガンを調整しながらボカシを作り、オリジナルに近い塗装へと再現させていきます。
「うづくり」の風合いも壊れず、色のぼかしも再現し上手く仕上がりました。
現物の状態を確認して修理方法を検討しましたが、判断に間違いは無かったようです。
最後に、エラストフラムの交換とニードルフエルトを張り替えてすべての修理が完了しました。
「うづくり」仕様の再塗装修理という事で、お客様には条件つきでの修理というご提案でしたが現物の状態と
「うづくり」という特性を極力無くさない方向で検討した結果、より難儀で技量を伴う作業となりましたが
上手くまとめられたと思います。
これからも末永くご愛用頂けると幸いです。
今回の修理代金は、
部品代\5,200+作業代\87,200=合計\92,400【税別)
※当時の価格です