食堂椅子の総張替え修理

こんにちは・・・・多摩営業所のメンテナンス課です。

今回は、約13年~15年程ご使用の食堂椅子で、合成皮革の表面が硬化し、
柔軟性が無くなり破れが発生してしまったので、総張替え修理のご依頼を

4脚承りました。
 
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このモデルは、「人間工学」に基づく座りごこち研究から生まれた椅子として
モタレと座面シートは椅子本体に直接張り込んである為、張替え修理の場合

一旦分解して既存の張材を剥がす事からスタートします。

 
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早速修理作業を開始します。

まずはモタレ張材の剥がしから始めます。

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①モタレ部の左右、下部に取り付けてある玉縁を取り外します。

②玉縁を外すとタッカー針が見えます。目打ち工具で1本づつ針を持ち上げてゆき、
その後ニッパーで取り除きます。 その際に、露出している木部には傷を付けないよう
慎重に針を除去しなければならない最初の難関作業です。

 

シート部も同様に、玉縁を外した後タッカー針を木部に傷を付けないように除去します。
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③モタレ、シート共に表張地を剥がした状態です。
 ウレタンは劣化して黄色く変色しています。

④接着されているウレタンをヘラ状の工具で丁寧に剥がしていきます。

⑤古いウレタン材がきれいに剥がし取れました。

 

次に新しく入荷されてきたパーツを使い、張り付け作業へと移ります。

パーツの点数が比較的多い為、数や内容、取付順序等、間違いが無いか

事前にしっかりと確認をしておきます。
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それでは、まずシート部から張込み作業に取り掛かります。
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⑥布バネ(黒色部)を設定されている数値の強さで引っ張り、張り付けます。

⑦ウレタンを乗せ、周囲には別の薄いウレタンを巻き接着します。

⑧角が出ないよう小口部分も含めしっかりと接着します。この部分が剥がれてしまうと、
のちにシートの側面形状が歪んできてしまう恐れがあります。
 
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⑨シート用縫製張地を、ウレタンへ的確に位置合わせをしながらかぶせていきます。

⑩縫製張地の周囲を、木部の溝にエアータッカーで留めてゆきます。

 のちに溝に沿って玉縁を装着してシート部の作業は完了です。

 

次にモタレ張替え作業に取り掛かります。
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⑪下張りテープとクロスを木枠に位置合わせして、シワが無いように張り付けます。

⑫モタレ専用のウレタンをかぶせ、一部分をタッカーで留め固定させます。

⑬縫製品をかぶせ、エアータッカーで張り付けていきます。
シワ、凹凸が出ないように張り付けるのがかなり難しく、第2の難関作業といえます。 

 

最後に玉縁を装着し・・・・

すべてを組み付けて、作業が完了しました。
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かけ心地の良い椅子でよく売れている商品ですが、修理については技術を
要するもので、張りの際にモタレトップ部分にシワが発生しやすく、難しい作業

でしたが全力で取り組ませて頂きました。

ありがとうございました。

修理費用

座面シート・背もたれ総張替え¥32,400×4脚

往復運賃¥10,000

合計¥139,600(税別)

以上、20203月現在価格になります。  





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