姿見破損の修理

こんにちは、福岡営業所メンテナンス課です。
 

今回は、当社「お客様相談室」のインターネット修理見積りにお申し込みを頂き、

3年前の熊本地震の際に姿見が壁から落下し倒れ、鏡周辺の木枠部分が折れて外れて
しまっているが修理は可能でしょうか? というお問い合わせ内容でした。 

 

送付いただきました画像を確認しましたが破損状況や、この製品の修理事例も無い事など

から、実物の状態を拝見して修理が可能なのか判断をする事となりました。

 
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ご訪問して実物を確認したところ、鏡と木部の境目部分が激しく壊れており、表面は木材の

一部が欠損してしまっています。

無垢材を多く使った構造体の為、各部材はそれなりに重く、折れた箇所は接着修理レベルで

形が保てるか不安です。

 

欠損した部分】【は木の厚みが薄い箇所に長い幅で発生しており、復元補修はかなり
困難な感じがします。

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今回、お客様のお気持ちに察するところも有り、その場でお預かりして修理を行う判断を

取らせて頂きました。

本体と無垢木部分は専用の金具で組付固定されており、一部を除き金具に破損は無く

そのまま元に戻せる状態でした。
 

鏡も目立つヒビや割れも無く、また、接着固定ではなくハメ込み式となっていたので簡単に

外すことが出来ました。
 
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本体下部の割れた部分は部材が無垢のため重く、画像のように台に乗せると
折れ曲がってしまいます。

割れ目に接着剤を塗布するだけでは形を保てないと判断し、合板に加工を施して
裏面に接着固定する手段を取りました。

 

合板材を適度な大きさにカット。

既存の固定金具を差し込む孔位置に合わせて、孔加工も施しました。

裏面は見えない場所ですが、同系色に塗装を施し接着固定します。

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壁に設置した際に、横から合板材が見えないよう工夫して
両サイドは斜めにカットしました。
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長い幅で木部が欠損している部分は、幅5ミリ、厚み3ミリ、長さ70センチ程の
無垢材料を探して使用。 パテ、瞬間接着剤などを使用して造形補修しました。

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一連の作業に加え、本体全体に空砥ぎ後補色補修とウレタンフラット塗装を施し、
色艶感を補正しました。

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接着剤が固着したのを確認後組付け、鏡を磨くなどの清掃を行い完了しました。
 

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■今回の修理修理費用

木部破損修理/補色フラット塗装修理

¥22,500  出張費¥5000

計 ¥27,500(税別価格)

2019年12月現在価格になります。

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お客様より、この姿見はご結婚の記念にと購入された大切な品との事でした。熊本地震で

ほとんどの家具が壊れて破棄をされた中、この姿見だけはどうしても捨てらず震災から

3年間壊れたまま保管されていたとの事。

お客様のお気持ちになんとかお応えしたいという気持ちと、販売期間が2年と短く
出会う機会の少ないを修理させて頂ける良い機会を頂けたと思い、
修理をさせて頂きました。

ありがとうございました。

 



2019年12月

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