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開発デザイナーが語る
コミュニケーション装置としてのテーブル
昨今の「働き方改革」が進む中、オフィスの移転やリニューアルをきっかけにオフィス環境を改善しようという企業が増えています。そんなオフィスで重視するポイントとして挙げられることが多い「社内のコミュニケーション」。
コミュニケーションの活性化が、生産性向上や業務効率化、離職率の低下(=社員の定着)に繋がるとも考えられています。
そんな中、「コミュニケーション」をキーワードに開発されたのがコミュニケーションテーブル『DW64モデル』。
今回はこのテーブルがどのような想いを持って作り出されたのかを、商品開発のデザイナーが語ります。
カリモク皆栄マーケティングセンター
デザイン開発部
延時文雄
1989年入社。
30年以上にわたってカリモク家具の商品開発に携わり、数々のヒット商品のデザインを手掛けてきた。
中でもデスクシリーズ『ボナシェルタ』は2007年度グッドデザイン賞受賞。
カリモクを代表するロングセラーの人気シリーズとなっている。
「会話が弾む場」をつくる
まずは、このテーブルの開発のきっかけを教えてください。
働き方の見直しが、ヨーロッパ、アメリカ、日本とされている中、木製家具メーカーとして何かオフィスの空間に提案できるモノが
あるのではないかと思い、開発に取り組みました。いつもは家庭で使う商品を開発をしておりますが、今回をその流れをうまく、オフィス空間に演出できないかと考えました。例えば、ダイニングテーブルは家の中でも「会話が弾む場」だと思います。
夫婦、親子、お友達、それぞれ会話する相手が違ってもテーブルを囲むと不思議に会話が弾むと思っています。
家庭の会話がヒントになっているのですね。
そうですね。オフィスの中で困っている点をリサーチした所、年代関係なく「コミュニケーション不足」で不満を漏らす人が多かったです。機器の性能向上やシステムの発達で情報の伝達は早くなっても、思い(意図)の伝達までは難しいのでしょうか?会って話をするのが結局、理解度含めると一番早く、更にお互いの理解度も増すことがわかり、そのシーンを提供でき、更に会話 が弾む商材を提案したいと思い「コミュニケーションテーブル」というネーミングにしました。
人気デスクシリーズ『ボナシェルタ』の開発も担当されましたが、コミュニケーションテーブルの開発に生かされたことはありますか?
私は開発(デザイン)に置いて、シンプルさにこだわりを持っています。それはデザインの中で必要最低数の「ライン」で構成させることです。デザインの為に構造体を内部に組み込んだり、外部に見せたりしながら、完成品はなるべく「シンプル」に仕上げます。商品が「シンプル」だから、単体でも長く使えるデザインですし、色々な商品にもコーディネートしやすいと思っています。「ボナシェルタ」も「コミュニケーションテーブル」も同じ開発姿勢で取り組んできました。
ディテールにこだわる
「シンプルさ」以外にもこだわったポイントはありますか?
家で使うダイニングテーブルのような、木製の魅力を生かしたデザイン。PCなどの配線にも考慮したディテール。そして、大きなサイズまで対応した仕様(連結で最大4000㎜)です。基本天然木ですので、材料の伸縮は考慮しています。
テーブルの高さが2種類(690mmと723mm)設定されていますが、どんな意図がありますか?
オフィステーブルとしてなら723㎜だけでもいいのですが、コミュニケーションを考えるなら「ダイニングチェア」の高さを考慮して690㎜も設けました。目線が低くなると、リラックスできる落ち着いた雰囲気にもなると思います。
天板の「LVL」はデスクシリーズ『ボナシェルタ』にも採用されている構造ですね。どんなメリットがありますか?
「LVL」は元々、建築の構造体で使われていますが、家具の分野でも強度をもたせる所に使っています。特に、大きなサイズで「強度」と「軽量」を必要とする場合に有効で、シンプルなデザインを実現させるうえでもポイントの1つになっていますね。
仕事が「楽しくなる」ように
最近、カリモク家具営業部門のオフィスにも導入され、少人数のミーティングに使われるようになりましたね。
そうですね。色々な部署の方が、都度人数を変え使用されていますが、木製ですので外から見ると「やわらかい」イメージに見えますね。(会話の中身は分かりませんが…)
そのテーブルに集まりたいと思っていただけるだけで、自然に仕事が「楽しくなる」などの効果を期待したいです。「楽しくなる」=ワクワク感、いろいろな意見が活発に出る、人の話を聞く。ということに繋がってくれればと思います。