意外なはじまり。家具メーカーではなかった創業期
カリモク家具の歴史は1940年、愛知県刈谷市の小さな木工所から始まりました。しかし、意外に思われるかもしれませんが、「カリモク」ブランドの家具を本格的に作り始めたのは、創業から20年以上が経過した1962年のこと。それまでの長い間、私たちは様々な木工部品を製造する、いわゆる「下請け」の工場でした。
その取引先は、ピアノの鍵盤(河合楽器様)、テレビの木枠(三洋電機様)、ミシンのテーブル、織機の部品(豊田自動織機様)など、各業界でトップクラスの品質を要求する企業ばかり。この出会いが、私たちの運命を大きく左右することになります。
異業種の厳しい要求が、最高の技術を育てた
中でも、カリモクの技術力を飛躍的に向上させる転機となったのが、ピアノの鍵盤やミシンのテーブルといった、精密機械の一部として機能する部品の製造でした。
これらは単なる木製品ではなく、ミリ単位、時にはミクロン単位という極めて高い加工精度が求められます。木材の性質を完璧に理解し、最適な乾燥方法を見極め、刃物や接着剤を選び抜く。木工加工に関するあらゆる知識と技術の革新が、日々求められました。
この「他業界の厳しい要求水準に応え続ける」という経験は、私たちにとって最高の修練の場となりました。
絶対的な自信を胸に、自社ブランドへ
景気に左右されやすい下請けから脱却し、「自分たちの手で、自分たちのブランドの家具を作りたい」という想いが芽生えた時、彼らの手には、どこにも負けないという絶対的な技術力と、品質に対する揺るぎない自信が握られていました。
他の家具メーカーとは一線を画すこの「外圧による品質向上」の歴史こそが、今日のカリモクブランドの信頼性の源泉となっているのです。

