第10回 ロンドン自宅のエクレクティック紹介【1】

10月中旬は久しぶりの日本滞在です。

10月13日には、カリモクドマーニ日本橋ショールームで、プロの皆様を対象とする「欧州トレンドセミナー」を行いました。150名近くの様にお申込みいただきました。このトレンドセミナーはおかげさまでいつも好評いただいており、人数の関係でおいでいただけなかった皆様にはたいへん申し訳なく思います。それほどトレンドの重要性をご理解いただいているプロの方が多いことを、とても頼もしく感じます。

今回は本来4月末に行う予定だったロンドンデザインウィーク、ミラノサローネリポートが延期となったため、その後訪ねた9月のパリ メゾンオブジェ、ロンドン100%DesignならびにDecorexも併せ、2011年の欧州トレンドリポートの総括を行いました。今年も欧州インテリア市場は世界情勢を反映したダイナミックなトレンドが生まれました。一年を総括するとまた面白い動きが見えてきます。きっと参加されたプロの皆様も楽しんでいただけたと思います。(写真上:数多くのスライドでご紹介したセミナーの様子。下:その後のレセプションの様子。プロの皆さまに楽しく交流を深めていただきました。)

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トレンドから見ても、インテリアはなんて面白い、といつも欧州のフェアでは感じます。
欧州のトレンドでもエクレクティックは大きな流れ。
トレンドとしていち早くこれをスタートしたのはロンドンのデザイナーたちですが、私も個人的には大好きです。

私の家もエクレクティックです。ベースにあるのは洋の東西を合わせたエクレクティック。特に日本のすぐれた伝統工芸品は洋の空間プロポーションや質量感にも負けず、デザインをエンハンス(特徴を高めてくれる)する、エクレクティックフィニッシュの重要なアイテムとなります。
これから数回にわたり、私の自宅のエクレクティックとそこで使われているアイテムのご紹介をします。日本的な常識では「え?」と思われるものもあると思いますが、そんな常識にとらわれていては、エクレクティックはできません。
美しくリズム感があり面白楽しいこと、それがエクレクティックの身上です。

ではまず今回は全体を見ていただきましょうか。

chpk2511422_large-25.jpg建築は1870年代の学校です。2000年に使用目的を転換するコンバージョン建築が可能になった以降、2001年に学校から住宅にコンバージョンされました。ヴィクトリア時代の学校を住宅に変えるデベロップメントは、そのダイナミックな外観や空間の面白さからとても人気で、Victorian School Conversionと呼ばれます。

英国では日本のマンションタイプの住居をFlat(フラット)と呼びます。このフラットは一つの教室を上下階に分けて作られています。昔の学校の教室は大きかったのですね。今でもこの時代の建物が小学校に使われる例は多いのですが、天井が4.5メートル近くある大空間です。
リビングがこの天井高を生かしたDouble Height(ダブルハイト)の大空間、キッチンや居室、バストイレは高さを半分にしてレイアウトされ、フラットの中で1階建てと2階建て部分が共存しています。大空間を見下ろすバルコニーや天井高をフルに生かした窓があることが、このタイプのフラットが人気の理由です。Thackeray Road, Diamond Square SW8 school conversion plan.jpg

インテリアデザイナーとしてまずこのフラットに行ったのが、空間のプロポーションを整えること。お約束です。フォーカルポイントとなる暖炉を擁する壁を作り、そこにテレビやオーディオも組み込み、さらに照明の位置や暖房ラジエーターの位置を調整し、家具を置きやすくしました。キッチンはじめ玄関、ワードローブや書斎周りの収納もぐんと増やしました。ウィンドウトリートメントはテーマと目的に応じ設置し、こうして空間が出来ました。

デザインに関しては、それぞれの部屋にテーマを持たせているので、全体を貫くコンセプトはありません。英国のインテリアデザイナーの多くは、自分の家を自らを表現するためのマーケッティングツールとしてデザインします。自らの得意分野を強くアピールすることも重要ですが、表現の多様性を知ってもらうのも重要。だから私のように部屋ごとにテーマが違う家に住むデザイナーも多いのです。
私のところでは、このうちLDKがいわゆるメインの「和洋のエクレクティック」テーマです。

今回はまずLDKの概略をご紹介しましょう。
下の写真は2階のバルコニーからLDを見ています。リビング、ダイニング、そして書斎デスクコーナーがメインのエリアです。私がデザインした家具蓮夕がいくつか見えます。DSC_1200.JPG

次に同じ角度で下の階から見た図。暖炉の壁がフォーカルポイントの役割を果たしているのがよくわかります。DSC_1180.JPG

 書斎コーナーからリビングとキッチン、そしてバルコニーの一部を見ています。DSC_1047.JPG

最後にキッチンから南の窓を見ています。一日中太陽が降り注ぎます。でもお気づきでしょうか。子供たちの転落防止ならびに勉強中の集中力を散らさないために、窓のスタート位置がとても高い位置にあります。これでは外の景色を楽しむことができないので、中央の大きな窓には収納を兼ねた階段ダンスとWindow Seatingを作りました。DSC_0750.JPG

なんだかいろいろなものが混じっているような気がしませんか。
それでは次回からそれぞれのコーナーのアイテムについて、エクレクティックの手法とともに解説していきたいと思います。

澤山乃莉子

英国インテリアデザイン協会(BIDA)正会員
王立建築家協会準会員
インテリアデザインオフィスNSDA代表