カリモクさんのウェブサイトでブログを掲載するようになってもう4年目ですね。最初の2年はインテリアセオリーについての連載、そして次の1年は「蓮夕」コレクションとエクレクティックをテーマに連載を行いました。

でも3年の連載でも、まだまだ書ききれないことがあります。ロンドンにいると、新しいこともどんどん起こります。ムーブメントがあり、トレンドが生まれます。

そこで今回からは、書ききれなかったセオリーや、新しいトレンド、ロンドンで暮らす中で見つけたインテリアの話題などを「ロンドンインテリア雑感」と題して、気の向くままに綴ってみたいと思います。また暫らくお付き合いください。

今号は、ちょうどミラノで世界最大のデザインショーが行われたばかりなので、トレンドのお話をいたします。

 

● トレンドとマーケット

今までのブログでも幾度となくトレンドについてお話してきましたが、ヨーロッパのデザインシーンにとって、トレンドは大変重要な意味を持ちます。

日本のトレンドはファッション界が代表しますが、インテリア関連の消費指数が10を超える英国では(日本はわずか3です)、インテリアのトレンドは、日本では想像できないほどダイナミックです。インテリアデザイン、プロダクトデザイン、建築、クラフト、ギフト、アクセサリーに至るまで、インテリア関連業界は大きなトレンドのうねりの中にあります。日本ではファッションとインテリアのトレンドが強くリンクするのを見るのはまれですが、ヨーロッパでは、ファッショントレンドとインテリアトレンドは同時に強く作用し合い、それは雑誌やショーウィンドウでも明白です。特にロンドンでは、ファインアート、ポップアート、アンティークもインテリアのトレンドを反映し、売れ筋も傾向も驚くほど毎年変わります。

そしてそれらトレンドの源は、世界的な社会事象、経済動向やイベントと深く関わっています。

つまり、大きなインテリア市場の中でビジネスを成功させるために、必要なマーケットに正しくアプローチするには、トレンドへの理解が不可欠なのです。

これは他の小売業でも同じですよね。ただ日本では、インテリアマーケットにおけるトレンド感が非常に希薄です。これは消費指数にも現れるように、日本のインテリアマーケットが欧米と比較してまだまだ小さいことの現れです。(日本の世界最大といわれるフードマーケットのトレンドがダイナミックなのは皆さん周知のとおりです。デパ地下のレベルなど、世界の他のどこの国の追随をも許しません)

しかしこれは裏返せば、インテリアには、まだマーケットが大きくなる可能性がある、ということです。

イギリス人の家に対する情熱は数字以上に高い。イギリス人にとって、家は自己実現であり、誇りであり、ライフスタイルの可能性であり、楽しみであり、家族の幸せです。

私は、そんなインテリアの可能性を日本の皆さまにも知っていただきたいと思って活動を続けています。

今後の日本経済にとっては新たな内需の開拓が不可欠です。インテリアはその可能性を秘めた産業です。

そんなわけで、今までもインテリアの面白さはしつこいくらいに書き続けてきましたが、今後もそれを続けていきます。

 

●春とトレンド

私たちNSDAでは、長年にわたりヨーロッパのトレンドを定点観測し続けています。

定点観測のベースはヨーロッパのデザイン3都といわれる、ミラノ、ロンドン、パリです。他の数多くの都市の見本市にも出かけますが、ある明確な理由によって、トレンド観察は3都市に集約されてきました。(その理由については、大きな紙面が必要なので、また別の機会にご紹介したいと思います。)

春にはその3都のうち、ロンドンとミラノが街を挙げてデザインウィークを行います。

3月のロンドンではFocusが、ミラノでは世界最大規模のインテリア見本市といわれるミラノサローネが華々しく開催され、世界中から多くのプロたちが新しいトレンドを見つけるために集まります。

 下:3月のロンドンデザインウィークメイン会場となるチェルシーハーバーデザインセンター。150社に及ぶ世界の一流メーカーがプロのための常設ショールームを展開する。chd.jpg

下:ミラノサローネ会場。30万人の入場者を集める世界最大のインテリアショー。ミラノ市全体がデザインのお祭りに湧きかえる。salone1.JPG

下:見本市会場はミラノ市内全域に点在。日本でもおなじみのメーカーは、美術館全体を借り切っての展示を行った。P4210283.JPG

この中からいくつかご紹介すると、

ロンドンでは今夏のオリンピックを控え、英国、ロンドンを強く意識した色やモチーフが見られました。これは世界的なイベントがデザインに影響を及ぼしている好例です。2008年の北京オリンピックでもシノワズリが世界的流行になりました。

今年ロンドンはオリンピックだけでなく、女王陛下の在位60年を祝う式典が6月初旬に国家プロジェクトとして行われることもあり、すでに街全体がお祭りムードです。

デパートのショーウィンドウも英国一色。(Peter John'sIMG_2598.JPG

去年もこの時期ウィリアム王子の結婚式で盛り上がっていました。英国人にとっては、誇り高き2011、2012年というところでしょうか。ヨーロッパの金融危機の影響もなんとかかわしてますしね。というより、別の理由もあり、ロンドンの景気はアッパーマーケットに於いてはバブル状態です。まさにロンドンの世界での位置付けがなせる業です。

このほかにも、英国の誇りを伝統工芸の技術で表したり、昨年の民族文様のトレンドを発展させたトレンドが出たりと、ロンドンでは、色、パターン、モチーフに於いて新しいトレンドも見られます。

ミラノでは、すでに多くのトレンドリポートが伝えているように、ヨーロッパ金融危機の影響がいたるところで見られました。でもそれだけではない、さまざまな興味深いトレンドの芽吹きもあります。

ミラノサローネでは、毎年面白いくらい、同じ手法やフォルムを数多くのメーカーが同時に発表します。まるで事前に誰かが「今年はこれで行きましょう」と手引きしているようです。そんな共通項もいつくも見つかりました。たとえば、以下の写真のようなボタンのモチーフがよく目立ったり(以下はCITCOによる大理石の壁面装飾)。はて、なぜでしょう。P4190058.JPG

そんな共通項を追って行くと、そのトレンドの背景や原因が見えてきます。

 

●カリモク in ミラノ

カリモク家具は4年連続でミラノサローネに本会場と市内で出展しました。

本会場では日本からの優秀なメーカーを集めたSOZO.com の展示ブースで、カリモクの売れ筋商品を、その製作技術の高さを伝えるパネル展示とともに行い、真摯なものづくりの姿勢は、多くの来場者の共感を得ていました。今年のミラノサローネの流行の一つでもあるウォルナットカラーの茶色と、ポップで親しみやすいフォルムも人気の一因でした。P4210288.JPG

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「カリモクニュースタンダード」は、3度目となる市内単独会場での展示を行いました。

会場はまるでスタイリッシュなアパートメントのようなギャラリー。まさに海外からの出展に最も必要な環境を得て、そこで暮らしているような自然な展示はプロの絶賛を集めました。柳原照弘氏、カリモクデザインチームのオリジナルデザインに、オランダのショルテン&バーイングスをはじめとした、ベルギー、スイスから、急上昇中の若手人気デザイナーによるラインアップを加え、ますます充実したデザイン群となって圧倒的な存在感を放つ展示となりました。(以下写真:Aiko Onosekarimokuns1.JPG

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● トレンドの分析から

トレンドが映すものは、インテリアという大河の一筋のようなものです。しかし、その大河は人が定住という生活を得たところからその源を発し、さまざまな建築様式、そして文化や芸術も発展させ、暮らしを彩る装飾芸術を生み出し、家具を生み、やがてバロックに始まる国をまたいだトレンドを生み、国の覇権や経済の隆盛を映し、現在に至るデザインの潮流をすべて内包する大河です。今あるデザイン、トレンドはそれら過去の水滴の中から生まれ、さらに未来へと続く流れの種となるものです。

人類の英知が作り上げてきたもの、それが現在の住環境であり、それはさらに向上させる(少なくとも向上させる想いで生みだす)べきものです。人がいい環境、美しい環境で住みたいと思うことは人間として当然の欲求であり、権利です。プロはそれを実現させるために、どの時代も最善を尽くしてきたでしょう。その結果の一つがトレンドです。

だから、トレンドは単に消費社会の無意味さを映すものではなく、未来へつなげる種なのです。咲かせる種を作るのがプロの仕事です。

日本では最初に述べたマーケット環境から、トレンドに興味を持たない、あるいはトレンドに振り回されるべきではない、との態度を取るインテリアのプロも目立ちます。それはトレンドを表層的にしか捉えていない見解です。少なくとも、住環境の向上を生業とする私たちプロは、トレンドの本当の意味を理解するべきでしょう。

 今後日本の業界に関わる私達プロは、マーケット発展のバロメーターである、デザイン分野すべてを巻き込んだトレンドを生みだすことを、インテリア産業発展のための一つの目標とすることが必要となってくるのだと思います。

 

◆詳しくトレンドを知りたいプロの皆様には、私が525日から東京、大阪、名古屋で行う2012ミラノ ロンドン トレンドセミナーをご案内します。

http://interiortrend.jimdo.com/ 

なおここでの収益金の一部は、震災復興支援「壁紙プロジェクト」の活動資金に充当されます。

http://wallpaperproject.jimdo.com/

ロンドンエクレクティックデザインシーンと題したこのブログもちょうど1年となり、今回が最終回となります。19回にわたる連載では様々なエクレクティックシーンをお届けしてきましたが、新しい考え方でもあるエクレクティック、楽しんでいただけましたでしょうか。
 
今回お届けするシーンは、日本からです。ロンドンからスタートしたこのブログでお伝えした考え方が、期せずして日本のマンションデベロッパーさんの目に留まり、大阪のマンションでモデルルームという形でお披露目できることとなりました。また、同時にこのブログ連載の初回でもお伝えした"Buy J Crafts Campaign"(伝統工芸品の世界的プロモーションの試み) http://www.nsda-uk.com/buy-j-crafts/ にもご理解をいただき、エクレクティックテーマに日本の伝統工芸品を加えることにも賛同していただきました。
最終回でそれをご紹介できるのも、導かれたようでとても不思議です。言い続けるといつか聞いてくれる人々が増えていくものなのでしょうね。
エクレクティックの連載でもっとも伝えたかったことは、実はインテリアを育てるという考え方です。人は人生の中で何度か引っ越しを経験したり、人生の転機を迎えたり、家族を作ったりしながら、同時に自分の周りにあるインテリアも成長させています。エクレクティックは上手に面白くインテリアを成長させていくための助けになる考え方です。
今回モデルルームを担当したのは長谷工アーベストがマンションでは関西第一号となる「長期優良住宅」として完成させたブランシェラ吹田片山公園です。http://www.haseko-sumai.com/kansai/sinki/lqm-suita/index.html (写真:当該マンションフォトギャラリーより)facade.jpg
  
戦後のマンション寿命は40年といわれてきました。そのサイクルでは長期のローンを返し終えた頃には、マンションの価値は元の購入価格さえ下回る元本割れをおこし、40年を超えると老朽化マンションと言われ二束三文でも買い手がつかない状態になると考えられてきました。
地震が無いとはいえ、150年から200年の古いレンガの住宅にメンテしながら住み続けることが当たり前のロンドンのとは大きな違いがあります。今まで10回以上の引っ越しを経験し、日英でさまざまな年数の賃貸、持家マンションに住んできましたが、私は年数を経たマンションが大好きです。ロンドンでは築140年、日本でも築40年と50年のマンションに住みましたが、きちんと作ってあり、メンテナンスとコミュニティがしっかりしていれば、むしろ空間が整い、新しい物件より住みよいと感じます。
スクラップアンドビルドの考え方から住宅ストックという考え方への方向転換が必要とされ、長期優良住宅が認定制度を整備して建設され始めています。ブランシェラ吹田は200年耐用を目標として、工法、素材、メンテナンス、空間、コミュニティなどハードとソフトにわたる研究で誕生した、関西圏では第1号の長期優良住宅マンションです。ロンドンの長寿命住宅を知るインテリアデザイナーとして、この開発段階から、コンサルタントの立場で関わらせていただき、さらにそれをお伝えするためのエッセイの連載もさせていただいていました。(http://www.haseko-sumai.com/kansai/sinki/lqm-suita/sawayama/20111118.html)
エクレクティックの連載が1年前にスタートしたときに、すでにこの吹田のマンションでは一般的な新築タイプのモデルルームが完成していました。(写真:当該マンションフォトギャラリーより) ex-ldk.jpg
そして入居もスタートしコミュニティが成長するにつれ、長寿命住宅のお墨付きを持つ住宅に住むことの本当の効果が目に見えて現れるようになってきました。住民の皆さんは熱心にコミュニティ活動に参加し、長い目でコミュニティを育てる意識を持たれています。何世代にもわたりここに住むことを視野に入れ、また新築にもかかわらず入居者の年齢層も幅広くなっています。近隣の高級住宅地から将来にわたる安心とバリアフリーの暮らしを求めて買い替え入居をされる方も数多い。長寿命住宅という世代をまたぐ資産を得たことで、安心とゆとりを感じられているのがわかります。私もセミナーなどで住民の皆様とお話しする機会にはっきりとそれを感じることができます。素晴らしい効果です。
そこで、今後同社でも建設が続く長寿命マンションのショーケースとして、「住み続けて成長した30年後の家」をテーマに、「発売当時のモデルルームが家族の成長と家族構成の変化とともに成長した」というストーリーで、新たにモデルルームを作ることとなったのです。家族構成は、子供が独立した夫婦2人と、高齢で車いすを使う祖母の3人暮らしを想定しました。改装に関しては、もともとのバリアフリーに加え、補助金対応の手すりや大開口引き戸を導入しました。インテリアに関しては、当初からある基本の家具はそのままに、年月の中でコレクションしたもの、新たな嗜好、同居するようになった祖母が伝える家具などを、エクレクティックの手法で加えました。
この結果日本のマンションのモデルルームでは初となる試み2つを、今回のモデルルームで行うこととなりました。一つは車いす対応の改装を加えたこと、そしてもうひとつは既存の家具にエクレクティック手法で家具やアクセサリーを加えたデザインとしたことです。
そして初ではないですが、伝統工芸品や和のアンティーク家具を使った数でもおそらくモデルルームとしては前例がないかもしれません。また、モデルルームでは全体のインテリアのトーンを統一することが多いのですが、ここではあえて英国の人気スタイルや日本の伝統工芸品といった全く指向の異なるテーマを各部屋に持たせ、インテリアの可能性を広げました。
3月4日にはモデルルームの完成とお披露目を兼ねてセミナーも行いました。(http://www.mablog.jp/lqm-suita/archive/148#BlogEntryExtend)
それでは実際に完成したモデルルームをご覧いただきましょう。今までは英国からの例でしたが、日本で行ったことで、エクレクティックをより身近に感じていただけるといいと思います。

間取りと改装
まずは間取り図をごらんください。100㎡を少し超える3LDKです。plan20120330s.jpg
 

エントランスから廊下
まずはエントランスをご覧いただきましょう。EN04.JPG
 
玄関を入ると正面にはエントランスクローゼットがあり、ここには外用の車いすを置くことができます。ここで外用とうち用の車いすに乗り替えます。車いす使用ですが、手すりを使っての移動はできますので、必要箇所に手すりが設置され、さらに壁格納式のベンチもあります。正面で迎えるのは帯を額装したもの。使わない帯もこれでアートになります。玄関は華やかさがほしいところなので、帯と額はそのインパクトを演出するにはうってつけです。EN02.JPG
 
中に入ると広い廊下を挟んで左側にはトイレのスライディングドアA(3枚開き)と祖母の寝室への引き戸B(2枚壁格納)が向かい合って見えます。奥にはリビングに続く引き戸Cも見えます。ドアの木の表情と手すりが作り出す色のコントラストが、空間に深いリズムを加えているのが分かります。通常私自身は建具でインテリアを際立たせるのはあまり好きではないのですが、このように天井までの扉であれば、コントラストが生まれてもうるさくはならないですね。巾木は車いすが当たることによる摩耗を防ぐため20センチの高さを設けています。巾木は通常高さ8センチくらいの木目調を敷設することが多いようですが、私は洋のセッティングでは白の高さ20センチのものをお勧めします。実際白は後退色なので、部屋が広く見えるからです。デザインのエレメントを邪魔することもありません。
リビングのほうに進むと、祖母の寝室があり、その対面には納戸、リビング、浴室に続く、車いす取り回し用の広いホールがあります。機能からできた空間には、それを無駄にせず、むしろゆとりとして見せるアレンジを加えています。ENTRANCE01.jpg
 
このあたりからエクレクティックが始まります。アンティークの薬箪笥の上にはヴィンテージの帯を置き、その上に民芸風な香りと花、しかしライティングはインダストリアルで、さらに掲げられた写真アートはシュールなもの。なんでもないホールにちょっと目を引くしつらえ、これが廊下を進んだところに現れる。もとは車いす用に確保されたスペースが、しつらえ一つでゆとりの空間へ。これでリビングへの期待感も高まります。EN07.JPG
 
インテリアデザインのプロセスの中では、お客様にご理解いただくためのプレゼンテーションを作ります。以下にエントランスエリアのプレゼンテーションで見てみましょう。ENTRANCE02.JPG
 

祖母の寝室
ここではコテージスタイル(英国のカントリースタイル)をテーマとしました。かわいらしいコテージスタイルは永遠の人気。さまざまなパターンや色を重ねるエクレクティック手法を使っています。GMB07.JPG
 
目を引く要素はいくつかありますね。ポイントとなるのは、壁紙、照明、ベッド回り、椅子周りでしょうか。まず背景にある壁紙は英国の老舗Cole & Son社のベストセラー「ハミングバード」。木版を使い、今でも200年の伝統を守り手刷りで作られる、英国のプロはだれもが知る壁紙です。13色を13回の重ね刷りで出した模様は見事。しかも木版ならではのインクの凹凸がはっきり。色はすべて職人の目により決められ、同じ日の同じ時間帯に刷ったものしか同時に出荷しない、という徹底した品質管理のもとで現在もなおベストセラー。ゆったりした椅子は、英国の伝統的なアームチェアのスタイル。柔らかなツイード地の風合いと色が特等席へといざないます。でもここでもオレンジのインダストリアルなスタンドとキッチュでラブリーなクッションを合わせて、伝統に振りすぎないスタイルを演出。GMB04.JPG
 
イギリス伝統柄のパッチワークが、ベッド回りの優しさを、カーテンのストライプ、たっぷりしたカーテンタッセル、さまざまなファブリッククッションとの合わせで演出した「パターンonパターン」の手法です。これだけ色々な文様があるのに、うるさくないのが不思議でしょ。さらにここでも良く見ると、スティール製のサイドテーブル(コンランショップの昨年のベストセリングアイテムのひとつ)やオレンジのコケティッシュな照明などが落ち着きすぎない雰囲気づくりに貢献。小さなガラスのアクセサリー入れは江戸切子。
このベッドは介護用の昇降機つきベッドですが、日中はこのくらいかわいらしく見せられるインテリアとしました。
天井には小ぶりの鉄製の葉っぱをかたどったシャンデリア。ベッドルームだからこそのちょっとした贅沢。壁紙の鳥と葉っぱともハーモニーを奏でるよう。
プレゼンは以下の通りです。GMB 01.JPG
 


浴室、トイレ
車いすでの使用を考慮したトイレ、脱衣スペース、浴室は大開口でゆったりと。またこれらのエリアが祖母の寝室を囲むように隣接しているのも重要。BATH TOILET2.JPG
 


LDK
LDKのデザインコンセプトは、伝統工芸品を使ったエクレクティックスタイル。ここはもともとの家具が多いエリアでもあります。結婚当初に買ったダイニングセットやソファ、椅子などを大切に使いつつも、代々引き継ぐアンティーク家具や、伝統工芸品を買いたしながら作り上げた空間、という設定。それだけではなく、モダンな要素も忘れずに。歳を取っても、いつまでもわくわくする空間にいることは、とても大切だと思います。この頃私はファッションが飛んでいる、といわれることがありますが、年齢を重ねたからこそ、冒険を恐れずに、色々試してみたいもの。インテリアでもそんな冒険心を忘れないことが、暮らしの場を枯れさせない秘訣だと思うのです。
まずは全体を。和洋新旧が混じる、ユニークな雰囲気です。LDK1.JPG
 
ダイニングで目を引くのは、何といっても近江水屋箪笥です。ダイニングテーブルの背景としてもいい味を出しています。ただ民芸調の重さだけが強調されないように、あえてペンダントライトはコンテンポラリーで軽いもの、でも華やか感が出せるものを選んで。LDK2.JPG
 
テーブルセッティングに今回使ったのは以下のアイテム。九谷のワイングラス、江戸切子の冷酒用グラス、高岡銅器の塩入れとキャンドルスタンド、津軽のモダン塗の椀と皿、輪島塗の箸、金沢金箔の箸置き、山中塗りのテーブルマット、燕洋食器のプレースマットとカトラリーセット、山形の鉄器などです。皆それぞれに伝統的工芸品としてその精神と製造法を守りながらも、コンテンポラリーなアレンジメントを追求したデザインで、和洋いずれにも合う華やかさを備えています。LDK6.JPG

 
プレゼンテーションで見てみます。KITCHEN DINING.JPG
 

リビングに目を移すと、こちらでも和の空気感とエクレクティックなアレンジを強く感じることができます。LDK3.JPG
 
もともとあったのはソファと奥の黒い椅子。それ以外は長い年月の間に少しずつ買い足されたものという想定です。以前のモデルルームで使われていた家具や照明器具は、同じモデルの主寝室やスタディでちゃんと場所を替えて活躍しています。逆にソファ後ろのエルメスのスカーフを入れた額などは前のモデルでは玄関にあったものを移してきたものです。ここでは赤や金色がキーカラーとして使われていますので、この額がつなぎ役としてとても良い役割を果たしています。エルメスはここ数年、特に世界中の手工芸文化を積極的にデザインに採り入れています。どこかモンゴルやアンデスを想わせるこの図柄が、伝統工芸品を使ったこの部屋に合うのは自然なことのように思えます。
このエリアのアイテムは奥から時代箪笥と書アート、友禅柄のファブリックを使った華やかなカーテン。私がデザインした蓮夕のサロンチェアに、京都で3代続く着物デザイナーの斉藤上太郎氏によるデザインを西陣の織機で織上げた華やかな菊文様のファブリックを張ったもの。老舗の山形段通が、ポルシェのデザインも行うプロダクトデザイナー奥山清行氏のデザインを織上げたシャギーラグ、アンティークの仏像台をコーヒーテーブルにしたもの。これにオランダからのアートシャンデリア、サーチライトタイプのスタンド照明、ヨーロッパで大人気の高岡銅器 能作によるすず100%で自在に変形するかご、等で、モダンな要素も加えました。赤の色は、帯を仕立てなおしたクッションやアクセサリなどでちりばめました。
リビングのプレゼンテーションは以下の通りです。LIVING.JPG
 
このマンションはベランダが大きいため、ガーデンデザインで一戸建てのようなゆとりのアウトドアスペースを作ることができます。モデルルームの完成に合わせて仕上げられたミニガーデンは圧倒的なゆとり感を演出します。GARDEN03.jpg
 

スタディ
スタディのコンセプトは今年2012年オリンピックを迎えるイーストロンドンをテーマとしました。第17回のブログでも紹介したショーディッチが代表するデザインです。

この部屋の家具はすべて元となったショールームでさまざまな場所で使われていたものです。それぞれ違う雰囲気を持つ家具たちをつないだのは、ロンドンエッジーというテーマ。エクレクティックの手法で集めた者たちに、デザインとして芯を通すための手法を見ていただくのにちょうどいい部屋になりましたのでそのプロセスもご紹介します。

まずはデザインのプレゼンテーションを見ていただきましょう。ここで重要なのは、何といっても部屋に彩りを添える壁紙やアクセサリーです。STUDY.JPG

 
この部屋のキーエレメントになったのは、ロンドンの風景を写した壁紙です。この壁紙は昨年のロンドン100%DesignトレードフェアでWallpaper紙の主催するデザインコンテストの壁紙部門で第一位を獲得しました。デザイナーはBIIDのインテリアデザイナーでもある、エイドリアンです。(Adrienne Chinn
Adrienne Chinn http://www.adriennechinn.biz/acatalog/urban-london-collection.html ) ロンドンイーストで自身が撮った写真をコラージュして、ロンドンらしい雰囲気を持つ壁紙をデザインしました。壁や敷設部分のサイズに応じて壁一面をアートにすることもできる壁紙です。実際効果絶大ですね。ST03.JPG
 
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さて、今はロンドンエッジーをテーマとしますが、もとはさまざまな場所にあったアクセサリーや家具です。以前はどの部屋でどう使われていたかを見ていただきましょう。FORMER POSITION.jpg
 
家具は使われる場所によって、表情を変えます。購入当初はこれがロンドン風のとんがったデザインで将来使われるとは思ってもいなかったでしょう。
エクレクティックを成功させるつぼは、「それをつなぐ強いエレメントを通すこと」につきます。今回のモデルルームでも、それらをつないだのは、イングリッシュコテージ、ロンドンエッジー、伝統工芸品といった、強い特徴を持つスタイルでした。


主寝室
主寝室のテーマは華やかな伝統工芸品のコラボレーション。でも正直、ここはエクレクティック以上に、伝統工芸品を中心に、モダンにきれいに仕上げたお部屋です。MAIN BEDRPP,.JPG
 
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ベッドルームは夫婦の大切なスペース。単に機能だけでなく、ここで過ごす時間が豊かで大切な時間となる、また昼間も美しくあるようデザインします。ベッド回りのアレンジメントのポイントは、背景となる壁とそれを見せるための光の取り扱いです。ここでは世界的にも評価の高いトミタの手描きの壁紙を使いました。銅引きした紙の上にシルクオガンザをかけ、その上に手描きでもくれんを描いたもの。壁の大きさと絵がほしい範囲の大きさを指定すれば、その部分にぴったり収まるように描いてもらえます。この素材は光を当てた時の美しさも秀逸なので、柔らかな光を映すテーブルランプで表情をつけます。全体の色調は落ち着いた茶色ですが、沈み込んでしまわないように、色や華やかなテクスチャを添えて。ここでは赤地に金模様の華やかな帯地をクッションに仕立てたものを2x2で置き、ベッドサッシュにはリビングでも椅子の張り地とした斉藤上太郎さんのゴージャスなファブリックの銀バージョンを置きます。さらに帯を使った印象的なカーテンタッセルも加えました。
ここで昼間の色調も見ていただきましょう。夜の表情が妖艶なのに対し、昼は落ち着いて見えます。MG9921.JPG
 
夜の空間の方が艶っぽく見えるのは、照明による効果です。夜の照明の雰囲気作りはとても重要です。これが蛍光灯の全体照明では台無しになるでしょう。
クローズアップで見てみましょう。ベッド回りのテクスチャがよく見えます。mb01.JPG
 
テーブルランプは英国ポルタロマーナ社のもの。彫刻のようなフォルムです。よく見ると手前は女性、奥は男性のフィギュアのペアです。光が銅引きをした壁紙に美しく反射しているのがよくわかります。手前の写真立ては山田平安堂の漆と蒔絵による美しい一品。豊かな時間を作りだしてくれるのは、本物のテクスチャ感です。照明のブロンズのボディとシルクのシェード、和紙壁紙の豊かな質感、フォトスタンドの漆と蒔絵のつややかさ、サイドテーブルの木質が際立つフィニッシュ(澤山乃莉子デザインカリモク製)、クッションの帯地の豪華さ、ウールのベッドスプレッドの柔らかな風合い、これらすべてが本当のクオリティを醸し出します。
奥の壁にはあえてコンテンポラリーなモノクロフォトアートをかけています。エッジーなモダンテイストや照明に出るアート感はデザイン性を高めてくれる重要なアクセント。伝統工芸品と素敵なコラボレーションを演出します。
この部屋でもう一つ訪問者の目を引くのが、帯を使ったカーテンタッセルのアレンジです。ここで使う帯地の長さは約1.2メートル。直径が80ミリ程度のカーテンリング2つを使い、一つは壁のフックにかけ、もうひとつに帯を双方向から通しただけのアレンジですが、帯地はもともと結んだ時の張り感が身上ですから、このアレンジではとても良く機能し、見えのインパクトも美しさも狙いどおりです。ロンドンでも大好評の帯カーテンタッセル。使い方の工夫をするのも楽しいですね。(右は漆と房によるタッセル:参考商品 いずれも澤山乃莉子デザイン)tassel.JPG
 


ビバ! エクレクティック
日本のプロジェクトで行った、エクレクティックの事例を見ていただきました。
エクレクティックという手法を得て、インテリアは育ち、またその可能性を無限に広げることができるように思います。
そして何より、エクレクティックを使いこなすことにより、インテリアはどんどん面白くなっていくのです。
これでエクレクティックのお話は最終回となります。一年間の長きにわたりご覧いただき、ありがとうございました。
澤山乃莉子

前回ご紹介したロンドンデザインウィーク、Focus(インテリア部門)が今年も盛り上がって幕を閉じました。これらのトレンドが4月のミラノサローネとどう関連しているのか、とても楽しみです。4月以降は次なるテーマ、トレンドとインテリアトピックで連載を行いますので、そこで比較分析しながら詳しくご紹介していく予定です。
さて、2月末から3月後半まで、珍しく長い日本出張を行いました。大阪でのプロジェクトの仕上げやセミナー、様々なミーティング、そして動き始めたチャリティプロジェクトで東北を訪問するなど、忙しくもまた充実した出張でした。出発前のロンドンがすでに春の陽気だったので、3月の日本の寒さはこたえました。これだけ寒いと、春への期待も例年以上に膨らみます。新潟で育った私にとっては、長く雪に埋もれた後の春はいつも格別なものでしたが、待ち焦がれた今年のさくらはさぞ見事なのではないかと思います。
今回の出張で仕上げた関西のプロジェクトでは、このブログのテーマでもある、和洋のエクレクティックをテーマのモデルルームを完成させました。

P1150126.JPGそこで今回と次回は和の伝統工芸品を洋のインテリアにちりばめる手法を、合わせやすい傾向のアイテムを取り上げながらご紹介したいと思います。現在プロによる写真撮影が行われている上記モデルルームは次回に、今回はロンドンの自宅からご紹介しましょう。

● 伝統工芸品と洋のインテリア
伝統工芸品の定義については、伝統工芸センターのウェブで明快に説明されていますので、そちらを引用しましょう。http://kougeihin.jp/crafts/course/whats


「伝統(的)工芸品」には、法律上では次の要件が必要と規定されています。
1.主として日常生活で使われるもの
冠婚葬祭や節句などのように、一生あるいは年に数回の行事でも、生活に密着し一般家庭で使われる場合は、「日常生活」に含みます。工芸品は「用の美」ともいわれ、長い間多くの人の目や手に触れることで、使いやすさや完成度が向上します。また色・紋様・形は、日本の生活慣習や文化的な背景とも深く関わっています。

2.製造過程の主要部分が手作り
すべて手作りでなくても差し支えありません。が、製品の品質、形態、デザインなど、製品の特長や持ち味を継承する工程は「手作り」が条件です。持ち味が損なわれないような補助的工程には、機械を導入することが可能です。
製品一つ一つが人の手に触れる工程を経るので、人間工学的にも妥当な寸法や形状となりますし、安全性も備えています。

3.伝統的技術または技法によって製造
伝統的とはおよそ100年間以上の継続を意味します。工芸品の技術、技法は、100年間以上、多くの作り手の試行錯誤や改良を経て初めて確立すると考えられています。技術と技法は一体不可分なものですが、どちらかといえば技術は、「技術を磨く」といわれるように「一人一人の作り手の技量」「精度」に関わりが強く、技法は「原材料の選択から製法に至るノウハウの歴史的な積み重ね」に関わるものといえます。
伝統的技術、技法は、昔からの方法そのままでなく、根本的な変化や製品の特長を変えることがなければ、改善や発展は差し支えありません。

4.伝統的に使用されてきた原材料
3.と同様に、100年間以上の継続を意味し、長い間吟味された、人と自然にやさしい材料が使われます。なお、既に枯渇したものや入手が極めて困難な原材料もあり、その場合は、持ち味を変えない範囲で同種の原材料に転換することは、伝統的であるとされます。

5.一定の地域で産地を形成
一定の地域で、ある程度の規模の製造者があり、地域産業として成立していることが必要です。ある程度の規模とは、10企業以上または30人以上が想定されています。個々の企業だけでなく、産地全体の自信と責任に裏付けられた信頼性があります。

伝統工芸品として登録された品目は日本全国で約200に上ります。以下のリンクでマップを確認することができますので、どうぞご自分の県にどのくらいの伝統工芸品があるかをご確認下さい。http://kougeihin.jp/crafts/introduction/prefectures

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素晴らしい品々ですね。100年以上の老舗の数は、日本は世界的にもダントツに多いと言われますが、伝統工芸や食文化についても同じことが言えると思います。織や焼き物の文化を見ても、全国津々浦々地域によりそれぞれの伝統があります。お祭りも、盆踊りも、芸能も、料理も村ごとに違う、こんな国、なかなかありません。登録されていない素晴らしい工芸デザイン・アートも数多くあります。それだけ豊かな工芸品の品々をインテリアに使わない手はないと思うのです。基本的には何だって採り入れることはできます。そこでポリシーと絵が見えれば、信楽の狸、高崎のダルマ、鳴子のこけしや招き猫が、コンテンポラリーなミニマル空間に凛として鎮座している絵を想像するのは、なかなかシュールでアーティーです。
私は2011年4月から日本の伝統工芸品、工芸アートを英国の市場でプロモーションするBuy J Campaignプロジェクトを推進しています。http://www.nsda-uk.com/buy-j-crafts/ (欧州市場向けのため、英語表記です)
ここで紹介している伝統工芸品、工芸アートのメーカーさんは、特に以下の条件に合うことを条件としていますので、洋のエクレクティックインテリアには合わせやすいと思います。http://www.nsda-uk.com/buy-j-crafts/j-crafts-gallery/
 海外販売を視野に入れ、英語のウェブを持っていること
 コンテンポラリーな空間に合うデザインの素養を持つこと
 洋の空間特有の質量感やプロポーションに負けない、デザインの強さを持っていること
それでは上記を使った、ロンドンの自宅インテリアからご紹介したいと思います。

● 伝統工芸品 in キッチン
今回はキッチンを例に見ていただきましょう。ここでは3つのポイントがあります。
まずキャビネットドアに日本の伝統金具を使ってみました。もともとはメープルのメラミン化粧合板のごく普通のキッチン。伝統工芸の金具をつけるために、あえてこれを白いペンキで塗りつぶしました。ロンドンの高級キッチンシーンでは、熟練した職人の手によるペイント仕上げが、キッチンキャビネットの定番です。気分はそれにあやかって。金具が生える仕上げとなりました。
2つ目は後ろの壁に京都4百年の老舗、唐長の唐紙を張り込み、保護のためにガラスを全面に施しました。
そして飾り棚やカウンターには用の美の伝統工芸品をディスプレイしています。
下:改装前のキッチン。2年がかりで改装をし続けた最後に行ったので、他のエリアができるにつれ「デザイナーの割にふつうね」などと言われ、ちょっとイケていない感あり。

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そして改装後。実験的な試みは注意を喚起するようで、「なにこれ?」と皆さん金具に吸い寄せられます。特別感満載のキッチンになりました。
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金具のクローズアップ。存在感がすごいです。(以下写真 すべてKotomiさん撮影)
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唐長南蛮七宝唐紙のスプラッシュバック(キッチンキャビネット壁)。この品格は老舗唐長ならではのもの。版木で押した文様は独特の顔料のにじみで、版木以外ではなしえない風合いを見せる。
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キッチンにはぜひ見せるディスプレイも加えて。ここでは久谷の味噌入れや、高岡銅器の燭台が他のアクセサリーとエクレクティックに混じり合い、リズム感を演出。
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キッチンのカウンターもディスプレイにはうってつけ。何も置かずすっきりのキッチンなんて、人が集まるキッチンらしい温かみが足りない。重くならないアクセサリーにはガラスやちょっと緩めの色絵も合います。ここではかわいい柄の古伊万里を菓子入れにして。さきイカもガラス瓶に入れるとおしゃれ。緩急のリズム感をここでも意識して。
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全体のインテリアの一部としてなじんでいることも重要。
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● クローズアップ 伝統工芸品 
今までもアクセサリーをご紹介してきましたが、ここでは特に伝統工芸品をクローズアップしてご紹介します。こういったものが使える、という例としてご覧ください。
まずはドアの取手と蝶番から。キッチンと同じ西川商店の金具。左の鶴柄はキャビネット、右は両開きのドア。鋳造の金具は立体感がいいですね。様々な仕上げの色や風合いにも対応可能。

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新潟県加茂市の伝統工芸品桐たんすの金具を作る職人さんに依頼したキャビネットの金具。2週間雪さらしで錆を出した上に10回以上の漆を塗り重ねた風合いは何とも言えない高級感。チェストのデザインによく合って。(キャビネットデザインは澤山乃莉子)

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華やかさを表現できるのは、伝統工芸品の真骨頂。七宝の絵皿、古九谷の花瓶と小壺、友禅の古い着物端切れで手作りした木目込みの写真たて、そして手描きの花札も小技の効いたアクセサリーになりますね。照明のテイストが違っても全く平気。
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西陣アンティーク帯地のアレンジ2種。圧倒的な華やかさはデコラティブクッションの素材にうってつけ。こちらは骨董店で求めたもの。さすがに親から受け継いだものは切れませんが、骨董店でぼろぼろになっていた帯も、使う部位を工夫してきれいなところを使うことで、新たな息吹を加えて。
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高岡銅器の大振りランタンは、キャンドル入れとしてテーブルトップで活躍。夜は透かしを通したろうそくの揺らぎが何ともいい雰囲気。コーヒーテーブルはディスプレイテーブルとしても重要。様々なものたちとエクレクティックな組み合わせは、空間に深みを見せてくれる。
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そして最後はダイニングのコンソールテーブル上のディスプレイ。山形の鉄瓶、高岡の塩入れ(元は仏具)、そして津軽塗のミニ重箱。集合体で見せるテクニックで高さ、幅の違うアイテムをまとめて。
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いかがでしたか。

伝統工芸品は美しいですね。本当に美しいといつも感じます。

ロンドンで活躍してくれている、遥か日本からの伝統工芸品の数々。一つ一つが人の手をかけたぬくもり、確かな工芸技術、現代でもむしろ新しいデザインの普遍的価値を、そこに置くだけで表現します。そして何より、日本の伝統工芸品を持つ、日々そばにいることの喜びと心の豊かさを感じさせてくれます。


さて、次回はエクレクティックテーマの最終回として、日本で表現した和洋のエクレクティックについてご紹介したいと思います。

ロンドンは春になるとロンドンファッションウィーク(217日から22日)を皮切りにデザインシーンが動き始めます。今年はロンドンオリンピックイヤー。ファッションの世界でもロンドンらしさはキーワード。

インテリアはこれに遅れること2週間後、チェルシーハーバーデザインセンターで311日からスタートするLondon Design Week 2012でシーズンが始動します。ここで発表されたトレンドが、4月のミラノサローネにどうつながっていくのか、インテリアが動き始めるロンドンの3月は、明るい高揚感に包まれます。

いずれにしても「ロンドン、英国」が今年のトレンドのキーワードになることは確実です。(ちなみに2008年の北京オリンピック時には、インテリアもシノワズリ一色でした。)

今回はそんなロンドンらしさを一貫してテーマとするデザインホットスポットをご紹介したいと思います。

 

ショーディッチ 新たなロンドントレンドの発信地

東京にも山手と下町があるように、ロンドンにもいわゆる山の手エリアと下町エリアがあります。map.jpg

チェルシー、ケンジントン、メイフェアなどがあこがれの山手エリア、これに対して、ハックニー、ショーディッチなどが、イーストエンドといわれる下町エリアです。ロンドン市内では最も大きな対比を見せるこの2つのエリアでは、使われる方言さえ違います。近年このショーディッチ周辺が、インテリアトレンドの発信基地として脚光を浴びています。しかし10年前までのショーディッチやハックニーは、ニューヨークのハーレムに匹敵するといわれ、いわゆる普通の人は入り込むことができないこわ-いエリア。タクシーでさえここでは乗車拒否するのが当たり前でした。驚くことにわずか10年で、デザインのエピセンターになったのです。なぜこんなことが可能だったのでしょう。

もともとこの街は治安、雇用、荒廃の問題が山積する人種のるつぼ。取り締まりなどだけではいっこうに改善しない状況を打開する「最後の賭け」として、街づくりのテーマに掲げたのが「デザイン」。自治体が主導してこれを強力に推し進めました。具体的には、閉鎖工場の跡地をスタジオと住居が一緒になったデザイナー・アーティスト専用の住宅に大量に作り替え、当時の相場では格安で売り出したり、貸し出したりしたのです。これによって、クリエーターたちが大挙して移り住むようになりました。小さなスタジオでも雇用は生まれます。私はその当時こうして作られたゲートコミューンを訪ねたことがありましたが、住んでいる同業者たちのコミュニティがうまくいっているのを見て、なんて素敵な街づくりだろうと思いました。さらに学校、図書館などの公共施設の改装に、世界中からの一流建築家、地元のクリエーターたちなどを動員し、ランドマークとなる建築を次々に作りました。街がデザイン的に面白くなると、関連するさまざまなものが集まってきます。こじゃれたパブやカフェ、ビジネスミーティングに欠かせないクールなジェントルマンズクラブ、新進気鋭のクリエーターたちのショップやアトリエ、果てはファインアートのギャラリーまでもが、このエリアに集まるようになりました。その流れを受け、チェルシーで行われていた100Designが、サテライト会場をショーディッチの中心ブリックレーンでスタートし、今や本体よりも面白いといわれるようになりました。

ブリックレーンはBrickという名前が示すように、かつてレンガ工場が立ち並んだ地域。後にバングラディッシュ系のレストランが軒を並べたため、夜はおいしいカレーを求めてロンドン中から人が集まる街になりました。食+ファッション+デザイン=ディスティネーションとしては最強のコンビです。しかもすぐお隣はロンドン金融街シティ。リッチなシティーワーカーたちの出入りも、ロンドナーたちが来やすい街づくりを助けました。商店街が作ったウェブも、めちゃクワーキーです。http://www.visitbricklane.org/P1140988.JPG

また、グラフィーティー(落書き)が収集つかない状態だった街に、グラフィーティー用に提供できる壁を公募し、さらに公共施設も巨大な壁を提供し、コンペによってそのデザインと製作をセットで募ったため、街全体が巨大なストリートアートのギャラリーになりました。今やストリートアート専用ガイドブックにツアーまであるほどです。P1140985.JPG

かのゲリラアーティスト、バンクシーもイーストロンドンにいくつもの作品を残しています。(以下はブリックレーンのもの。) banksy.jpg

オリンピックのロゴも、もともとグラフィーティー文字です。そしてロンドンオリンピックのメイン会場もイーストエンドエリアなのです。今一番ホットなロンドンの象徴といえるのでしょう。London2012Logo.jpg

多くのヨーロッパの都市でコントロール不能なっているグラフィーティーを、ポップアートとの領域まで高めたのは、こういった集中的な自治体の取り組みがあったからです。(以下のYoutobeからグラフィーティアート製作の様子が見られます。http://www.youtube.com/watch?v=h_TLUJlhxrs

ロンドンの濃いアート魂をこんなところでも垣間見ることができますね。

 

エクレクティックテーマのヴィンテージショップ

そんなショーディッチでも今ひときわ脚光を浴びるエクレクティックなショップをご紹介しましょう。

ショップの名前はBlitz。 20118月にオープンしたヴィンテージデパートで、ファッション、インテリア、本、コレクターアイテムなど幅広い品ぞろえとそのユニークな展示方法が話題です。P1140982.JPG

昔の工場と倉庫を改造した体育館のような売り場。さまざまなアイテムがシーンを作り出す。基本的にすべてヴィンテージで売り物。何?というものもたくさん。ジャンクの迷宮に迷い込んだようでわくわく。blitz2.jpg

巨大なウッドパネルを背景に、洋服もアートも照明も家具も、何ともこなれた感じでディスプレイ。エクレクティックデザインとディスプレイのヒントもたくさん。P1140970.JPG

英国モチーフは、エクレクティックにもヴィンテージシーンにも本当に良く合う。P1140942.JPG

ちょっと疲れたら、併設のカフェで本を読みながらお茶。自家製キャロットケーキとラテはなかなかのもの。カフェのチェアも売り物。座り心地が気に入ったらそのままご購入。ヴィンテージの家具、特にレザーのアームチェアなどは使いこまれてなんぼ、ということなので、このカフェで使っていることで価値も上がってる、、、、かも。P1140978.JPG

BLITZ http://www.blitzlondon.co.uk/p/photos.html

ところでカリモク家具のシリーズの中に、カリモク60があります。この家具は上で紹介したヴィンテージ感を出すのにとても使い勝手のいい家具です。

実は私の家でもこの家具を中心に、ちょっとヴィンテージ感のあるゲストルームを、アンティーク家具やヴィンテージアクセサリーとともに作っています。落ち着いてよく眠れると、おかげさまでゲストには好評です。ロンドン日本人社会ではなぜかお泊り女子会が大ブーム。絆の確認でしょうか。そんな時もこの部屋は一番人気です。ヴィンテージのこなれ具合は誰の心にも、同じ様にくつろぎ感をもたらしてくれるようです。136-222 copy.jpg

エクレクティックが見せてくれるもの

エクレクティックを楽しむということは、その背景にあるさまざまなファクター、たとえばそれがどこから来たのか、どういう経緯で来たのか、いつのものなのか、なぜ合うのか、どう積み重ねるのか、どうバランスを取るのか、などを探求するプロセスでもあると思うのです。モノとその背景を見つめる目を養うことにもなります。たとえばお仕着せで雑誌に書いてある椅子を一つ買う、そんなステージを超えたところにある考え方なのです。デザインコンシャスな人々がエクレクティックに目を向けるのも、その深さと面白さがあるからです。

空間の好みは人により様々です。

Aミニマル空間を好む人、緊張感があるくらいのきちんとした空間に住みたい人、ホテルのように生活感が無いインテリアを好む人

Bたくさんの好きなものに囲まれて過ごしたい人、変わっているといわれても自分のスタイルを貫きたい人、こなれてリラックスした空間に住みたい人、アーティーな空間に住みたい人

どれもが素敵な考え方です。人生のうちで、何度か考えも変わり、行き来することもあります。一緒に住む人により、スタイルの必然性にも影響します。ただ、もし可能であれば、一度くらいBを開拓してみるのも良いのではないかなと思います。プロとして、さまざまなスタイルを実現してきましたが、Bの面白は格別と感じます。それを助けるのが、エクレクティックアプローチなのです。古くからそれを実践しているロンドンでは、そのお手本をあらゆるところで見つけることができます。

さて、ショーディッチのエクレクティックを紹介していたら、本来お送りする予定だった「和洋をエクレクティックに合わせる」というお話をするスペースがなくなってしまいました。こちらもとても面白いテーマですので、次こそはこのお話に進めたいと思います。

ちょうど吹田の長期優良マンションで行っている、現状のモデルルームセッティングに、和洋新旧折衷エクレクティック手法でモノを加えて、新しいデザインを表現する、というマンションモデルルーム販売史上初の試みが間もなく完成します。長く住み続けながら、エクレクティックの手法で人生とともにインテリアを成長させていく、というコンセプトです。そのご報告も間もなくできると思います。Buy J Craftsも満載です。ご報告できるのを楽しみにしています。

ロンドンの2月はまだ冬のさなかですが、インテリアにはもう春の色が。

ロンドン南部のヴィレッジの一つ、Northcote RoadのインテリアショップThe Paint Houseでも春支度が始まったようです。ビビッドでリッチ、でもラスティックでインダストリアルなエクレクティック。今年は英国カラーのオリンピックイヤーなので、やはり青と赤は外せない色になるでしょう。 the paint house.jpg


  蓮夕ダイニングセットとスタイルの多様性

前回は私の自宅のダイニングに見られるエクレクティックデザインをご覧いただきました。今回は少し方向性を変えて、蓮夕のダイニングセットと、そのデザインの多様性をご紹介したいと思います。 一つの家具がどう多角的にシーンに対応していくか、というお話です。

まず、パンフレットに出てくる基本のスタイルを確認してみましょう。蓮夕特有の書道の筆づかいを想わせる緩やかな曲線が特徴的な家具です。均一の木目が美しいアッシュを採用し、木目が浮き立つように、塗ではなく染めの技法で色付けしています。色はセピアブラックとセピアホワイト。表に出る色の下には、黒の下地には赤を、白の下地にはグレートープをかけるという特殊な染色方法で、色の深みを演出しています。こちらでは高田賢三さんデザイン、仏ルリエーブル社の椿のファブリックと合わせています。(画像をクリックすると別ウィンドウで拡大画像がご覧いただけます)lenyu5.jpg

また以下はミラノサローネでの展示の様子です。 斎藤上太郎さんデザインの優しいピンクとグレーのファブリックが、エレガントな雰囲気を醸し出しています。こちらは会場でも大人気で、最終日には一目ぼれのお客様にお持ち帰り購入いただきました。

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同じ蓮夕の椅子が、以下のキャピトルホテル東急のプロジェクトでは、黒いフレームでシャープな表情を見せています。各写真左側の肘つきダイニングチェアは、一番初めの張り地と同じ高田賢三さんデザインのフランスルリエーブル社のファブリック、手前は斎藤上太郎さんの菊柄ファブリック。ファブリック使いで、表情豊かに変化ができる家具なのです。lenyu4.jpg

下の写真でも斉藤上太郎さんのファブリックと合わせています。同じ和魂のデザインだからでしょうか。蓮夕と上太郎さんのファブリックは、本当に相性がいいようです。2010_09_30_1778tT.jpg

ご覧いただいたように、蓮夕はファブリックとのコラボレーションで、豊かな表現ができるようにと、ファブリックに負けないバランスを持つライン、そして木の色合いとフィニッシュを、当初からコンセプトに据えデザインした家具です。

和の空気感 + ファブックとのコラボの可能性 = 唯一無二のスタイルを表現できる家具 

これがまさしく私が目指した家具のデザインでした。


ダイニングセットとテーブルセッティングのコラボレーション

ダイニングセットとしてデザインしたのですから、テーブルのコーディネーションが活きるデザインであることも重要なポイントです。

蓮夕では、今までいくつものショールームやセッティングで、スタイルの異なるテーブルセッティングをさせていただきましたので、それらの映像で、家具のデザインとテーブルセッティングのコラボレーションの妙をご覧いただきたいと思います。

以下のセッティングは京都御池のモデルルームで行ったセッティングです。白い木にモノトーンのセッティングで、リッチながらもスリークな演出になりました。001.jpg

このダイニングテーブルの色だしは、まずグレート―プをかけた上に白のステインで木目が立つように染め付けしたものです。最初にかけたグレーが光を当てるとかすかに浮かび上がり、木目の深い表情を伝えます。その上に置いた、黒漆に白漆を流水紋にかけたアンダープレイス(桐本泰一作)の色合いと素晴らしいコンビネーションです。この深みのある白は、特に上に来る食器のバックグラウンドとして、食器が映えるようにと採用された色でもあります。002.jpg

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次のセッティングはカリモクドマーニ名古屋ショールームでのセッティングです。ここのキーカラーは紫。和の雰囲気は押さえて、ゴージャスでヨーロピアンなデザインを目指しました。003.jpg

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そして次はアールデコエレメントを入れた、ド派手でクワーキーなセッティング。福岡で2008年に行いました。黒の蓮夕はかなり強い家具なので、これぐらいド派手な色のファブリックとテーブルセッティングでもバランスを崩すことはありません。

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テーブル上もにぎやかです。グラス、テーブルウェア、カトラリーも実はちゃんとデコテーマを踏襲しています。PICT0118.JPG

そして下は2009年、シノワズリをテーマに、ラズベリーピンクとダックエッグブルーをキーカラーに据えて、華やかに演出したセッティングです。ストライプのグラデーションのファブリックがとてもよく合って、特に女性からの支持が高かったセッティングでした。P1010886.JPG

実に家具とはさまざまな表情を持つものですね。

一つの家具が持つ表現力とデザインのバラエティの可能性をご理解いただければ幸いです。

カリモクさんの作る家具は世代を超えて受け継ぐことのできるだけの造りの確かさを持っています。時を経ても、蓮夕は張替によって、全く違う顔を持つ家具にもなれるでしょう。

 

 

 そしてエクレクティックを加えて

最後は現在の家のセッティング。エクレクティックのテーマを得ると、また家具は違う表情を見せ始めるようです。3-023 copys.jpg

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今回は一つの家具が見せる、さまざまな表情をご覧いただきました。

次回は伝統工芸品をインテリアの中にエクレクティック手法でコーディネイトする手法をご紹介してみたいと思います。

ロンドンではクリスマスが終わると、息つく暇もなく一斉に冬のセールがスタートします。セールでは50%引きは当たり前。中には80%引きも。人々が熱狂するのも当然でしょ。繁華街はとんでもない人であふれかえります。でもセール狂想曲はせいぜい10日間程度。1月も中旬に差し掛かるロンドンの今頃は気が抜けたように静かです。

これからは暗い冬を耐えつつ、少しずつ日が長くなっていくのを感じながら春を待つのです。冬至のロンドンの南中高度は16度。8時過ぎに出た太陽は3時半には暮れていきます。でも冬至以降、陽が日一日と長くなるとともに春は確実に近づいてきます。今年もバタシーパークの早咲きの桜が、もう咲き始めました。冬になって緑が鮮やかになる芝生とのコントラストがきれいです。こちらの桜の寿命は数カ月。ありがたみは薄れますが、本当の春が来るまで私たちの目を楽しませてくれます。IMG_2032.JPG


   ダイニングとエクレクティック

さて、今回はダイニング周りのエクレクティックをご紹介しましょう。

前回ご紹介したキーワード1.揃えない、2.でも方向性が見える、3.深みのある景色、4.アーティである」に沿いながら、ご紹介していきましょう。

まずはダイニングテーブル周辺。ここでは蓮夕のダイニングチェアを、脚部が特徴的なオーガニックシェイプをもつJulian Chichester社のダイニングテーブルに合わせています。天井から吊るす照明の代わりにAndrew Martin社のアングロポイズ型フロアーランプを置いてみました。一見合いそうもないばらばらのエレメントですが、この空間全体の雰囲気をエンハンスするインテリアの重要な役割を果たしています。

エクレクティックインテリアでは、ダイニングテーブルと椅子はセットで合わせる必要はありませんし、すべての椅子が同じである必要もありません。ただ、下の右の脚のクローズアップを見てみると、それぞれのカーブに共通点を見出すこともできます。このあたりが、全く違う洋の東西の製品を合わせても違和感がない理由でしょうか。

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以下はダイニングテーブル、蓮夕のダイニングチェア(白)とスタンド照明。この組み合わせはまさにエクレクティック。dining table2.jpg

ところで、ダイニングテーブルはあまり神経を使うものだと部屋に緊張感を与えてしまいますので、多少の傷や汚れは年輪と思って使えるくらいの気楽さで向き合うのがいいのではないでしょうか。私の家でも傷もインテリアの一部的感覚で家具たちとは付き合っています。

ダイニングテーブルの後ろにはヴィンテージのチャイニーズコンソールテーブルと梅をモチーフに漆に象嵌細工を施してもらったミラー、そしてアクセサリーが並び、背景となります。86-086 copy.jpg

以下はコンソール周りのクローズアップ。下の写真では、深みのある景色を作るために「重層的にモノが見えてそれが集合体で絵になるように立体的な配置を行う」というもう一つの重要な要素も確認できます。dining table6.jpg

まず、背景は鏡。ダイニングテーブルに華やかさを与えてくれるキーアイテムです。ここに映り込む花や照明、背景が華やかさを演出しています。実は気づきにくいですが、コンソールテーブルの上には球体のエレメントが繰り返され、加えて赤色が照明や重箱、そしてコンソールの中にさまざまな塗りの形で現れます。このようにばらばらのアイテムを円と赤のエレメントがつなぎます。

また、右の写真では家具に出てくる黒の木のラインと、照明やキャンドルに出てくるクロームのシルバーカラーが重層的に繰り返されて、空間の深みを演出します。

そして、このテーブルの上でアートのクオリティを発揮するのは、何といってもテーブルウェアです。私は以下のセッティングのように洋のテーブルセッティングでも和の伝統工芸品をミックスするのが大好きです。IMG_8394t.JPG

テーブルウェアは面白いですね。洋にも和にもそれぞれテーブルセッティングのルールはありますが、そこに何を持ってくるかは自由。西洋においても日本においても、テーブルウェアは職人の技術が凝縮して現れる伝統文化。特に日本のように、地方ごとに特色ある陶磁器や塗の技術がここまで発展したテーブルウェアは、まさに世界に誇るべきもの。洋のセッティングの中で使っても十分美しさを発揮しつつ、新しい華やかな美を創りだします。IMG_8372.JPG

8364.jpg「え、そんな風には普通使わないでしょ!?」等という常識にはとらわれず、エクレクティックなセッティングを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ちなみにダイニングのコンソールテーブルの下はもん太郎の寝床。ローズウッドの前面に手彫りを施し、革製のクッションも入れて作ってもらった特注品です。わざわざ堅い縁に頭を乗せて寝るのが好きなようで。エクレクティックを作る時の隠れたキーワードはゆるさ。犬の寝床もゆるさを加えてくれるいいアイテムになるようです。P1140852.JPG

次回は引き続きダイニングで使われている家具とアイテムをさらに詳しくご紹介しながら、伝統工芸品を使ったエクレクティックの面白さ、そして家具とスタイルの可能性についてお話してみたいと思います。

クリスマスシーズン真最中のロンドン。街じゅうでクリスマスイルミネーションが華やかさを競い合います。

クリスマスは家族、親せき、お友達中でプレゼントを交換し合うのが習わし。一人で何十もプレゼントを買うこの時期のショッピング熱は尋常ではありません。クリスマスショッピングを盛り上げるのが、各商店街のイルミネーション。買い物客を呼び寄せる必死の心意気が見られます。その中でも私のお気に入りは、スローンスクエアのもの。ツリーに雪の天使たちが舞い降りたよう。 P1140445.JPG

●クリスマスチャリティイベント

この時期盛り上がるのがクリスマスチャリティイベント。イベントを催してお金を集め、クリスマス前にチャリティ団体に寄付するのは、キリスト教を国教とするこの国では大変意義あることなのです。イベントに招待客として参加するのみでなく、多くの志ある人が自ら進んで何らかのチャリティイベントを行います。イベントを行うことはその準備含め大変ですが、寄付金を募ること、そしてそこで得られる人間関係や人生経験が、社会的責任を負う大人としての成長に欠かせないと考えられているのです。そしてもう一つチャリティイベントでとても重要なこと、それは皆が楽しむこと。チャリティイベントの主催にも参加にも当然お金がかかります。気持ちよくお金を使い、皆がWin-Winになれるように楽しむのです。日本的には一見不謹慎に聞こえるかもしれませんが、チャリティを根付かせること、続けるためには重要な考え方だと思います。

そんな最近のチャリティイベントから、一つご紹介します。

英国を代表するファッションデザイナーの一人 ピンクの髪がトレードマークのザンドラローズ女史(Zandra Rhodesの自宅でのファッションチャリティイベント。英国を紹介するベストセラー本も執筆するフォトジャーナリストの横山明美さんと出かけました。(下はイベントでの対談風景。左下はZandraと横山さんとの3ショット)11.jpg

Zandraさんには以前BIID(英国インテリア協会)で私が所属する国際委員会主催のセミナーの講師をお願いしたこともあり、実はファッションデザイナーでありながら、インテリア分野とも深いつながりがあります。6つの学位と女王陛下からの勲章も賜る彼女は、御歳70歳を過ぎてますます活動的。ファッションデザイナーとしてのクリエイティビティに加え、インテリアの分野でもプロダクトデザインや空間デザインも行い、そのZandraワールドに世界が称賛の声を惜しまないデザイナーの一人です。

パーティーが行われたロンドンの自宅ビルはメキシコ人建築家Ricardo Legorretaとともに内装まで彼女のこだわりでデザインしたもの。ペントハウスが自宅、その下の階は彼女が創設したファション&テキスタイル博物館(http://www.ftmlondon.org/index.php)や、オフィスがあります。12.jpg

とにかく凄いのは、Zandraワールドの徹底ぶり。床のタイル柄から壁の装飾、そして特注の照明器具まで、ディテイルへのこだわりのすごさです。そしてそのこだわりがすべて彼女を表しているのです。

以下はZandraの自宅のインテリアから。

何ともエクレクティックで遊び心満載、アート満載、そして自由です。床のレインボーカラーが壁につながる、色のマジックも。14.jpg

自身デザインの食器レンジをギャラリーのようにディスプレイ。絵も花瓶もクッションもしっかりZandraワールドを伝えていますね。15.jpg

気さくでオープン、そして何より情熱を持って自らの夢を語り実現し続ける彼女の姿は、デザイナーとして、ひとつの究極の在り方を見せてくれているようです。

イベントの後、「髪赤くしようかな」と言って横山さんに「影響されすぎ!」と思い切りたしなめられましたが、それほど会うたびに刺激を受ける、とても素敵なデザイナーです。

 

●エクレクティックin 自宅デザイン

とここから私の自宅のエクレクティックのご紹介に移りましょう。

Zandraの後は、何とも地味に見えますよ。

今回は窓際の私のデスク周りをご紹介します。

前回ご紹介したキーワード1.揃えない、2.でも方向性が見える、3.深みのある景色、4.アーティである」をもとにご紹介していきましょう。

このエリアにはデスク、椅子、トールキャビネット、ラグ、照明器具などがありますが、それぞれスタイルが違いますね。まずデスクとデスク照明はマスキュリンでインダストリアルなアールデコ様式。クロコダイルの型押しレザーとクロームの色がシャープな印象です。ただその下にあるラグはトラディショナルなペルシャです。椅子は蓮夕のダイニングチェア、素晴らしく座り心地良く製作していただいたので、一日中でも座っていることができる優れモノです。そして背景のトールキャビネットは和の雰囲気を持つスリークなフォルム。収納力抜群で、今まで納品したものでは書類やプリンター、靴収納として製作しました。また扉が大きいのを利用しさまざまな加工が可能です。ここではシルクオガンザに銅引きした壁紙を市松に貼った上に時代箪笥の金具をあつらえてつけています。見えにくいですが、トールキャビネットの奥にはブリティッシュアールヌーボースタイルのアンティークサイドテーブルも置いています。ばらばらなものの集合ですが、違和感はありませんね。そして和とアールデコがキーエレメントとなって作りだす方向性も見えます。エレメントのリズム感ある配置が景色の深みを創りだし、キャビネットの伝統工芸品がアートのクオリティを加えています。(写真は前回に引き続き写真家のKotomiさん)17.jpg

ちなみに以下の写真はキャピトルホテル東急エステサロンで納品したトールキャビネットですが、ここでは手描きに刺繍を施した豪華な壁紙を施しています。このレセプション空間は蓮夕の家具をベースに、こういったディテイルを壁紙や西陣織などを使って表現し、さらにモダンな照明やアクセサリーで軽くエクレクティックな要素も加えつつ創っています。18.jpg

さて、話を戻し、こういったデスクをリビングの中に置く場合には、それがどう見えるかということも重要ですが、デスクに座った位置からどういう景色が見えるか、ということも大切です。ここは部屋をみわたすことができる特等席です。それにしてもエレメントが多いエクレクティックであることが明白ですね。5-130 copy.jpg

次回は新年になります。和の華やかなテーブルセッティングも含み、ダイニングエリアをフィーチャーしてまいります。

それでは "Have a happy Christmas and a New Year"

ロンドンは紅葉もすっかり散って、冬景色突入です。冬至も間近。あー暗い。(クラッパムコモン。 写真をクリックすると大きな別ウィンドウで見られます)IMG_1944a.JPG

そんな中でも明るい話題は、約2年かけて補修工事を行ってきたテムズ川にかかるアルバートブリッジの補修が終わり開通したこと。ロンドンで最も美しいと言われたパステルカラーの橋は、老朽化で錆だらけのボロボロの状態となっていましたが、大補修と化粧直しも終わり往時の輝きを取り戻しました。それにしても2年間このエリアの大渋滞を引き起してでも橋を完ぺきにクローズして再生させた、歴史建造物修復に対する情熱は感服です。ちなみにこの橋の夜景の写真は私のお気に入りです。

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さて今回はリビング部分のエクレクティック手法をご覧いただきます。

ソファが一本、サティが2本、ラウンジチェアが2脚そして120cm角のコーヒーテーブル、サイドテーブルが2台、これらにラグやアクセサリーキャビネットなどで構成された空間です。77-211 copyt.jpg

ちなみに今回の写真はロンドンで活躍する写真家&ジュエリーデザイナーのKotomiさんにお願いしています。

エクレクティックを実現させるためのキーワードは1.揃えない、2.でも方向性が見える、3.深みのある景色、4.アーティである」こと。今回はそれらのキーワードを軸にこのエリアを見てみましょう。 

1.揃えない

エクレクティック・折衷主義は、建築用語辞典によると、「ヨーロッパの過去の様式だけではなく、非ヨーロッパ建築の様式も含めて自由に多様な様式を選択して組み合わせる態度のこと。」とあります。

まず重要なことはまぜこぜ感。ここではどうやってそれを演出しているでしょうか。

ソファとラウンジチェアx2は蓮夕です。ソファは和の色が濃い、力強いデザインです。この部屋の空気感を引っ張っているアイテムの一つといえるでしょう。http://www.domani.jp/len-yu/living.htmlLenyu sofa.jpg

それ以外はさまざまなところから来ています。手前の赤いサティは自身のデザインですが、こういった椅子の背によって空間が分断されたくない場所、壁を背にしない場所、窓の前などに置くのに重宝するスタイルです。娘の友人達がお泊りに来た時にはかなり寝心地のいいベッド代わりになります。奥にはカリモクJPシリーズの「Shin シューズロング」http://www.karimoku-square.jp/karimokujp/products/shin.htmlのアレンジバージョン。

コーヒーテーブルは大型120センチ角で、上にたくさんモノが置けます。モノが置ける場所も重要なエクレクティックのポイント。そればかりでなく日本人のお集まりではここがまさに茶の間感覚。床に座って落ち着くと宴会は延々と続きます。そんなわけでセンターテーブルは可能な限り大きなサイズをお勧めします。人が集まるための効果が抜群だからです。コーヒーテーブル下のラグはエスニックなギャベです。もともと長い毛足の下にスポンジフォームを敷いているので、実は座布団がなくてもふわふわです。人が集まりくつろぎやすくするには、こういった少しの工夫が実はかなり重要です。

いずれにしても揃っていないというよりばらばらです。ファブリックも色も、テクスチャーも脚のラインも、良く見るとフィニッシュもすべて違います。そして何とも雰囲気の違う大きな照明がぶら下がり、この空間にあるスタンド照明も全くスタイルが違いますし、家具の雰囲気ともコーディネイトしていません。そして和のアクセサリーが、ランダムに洋のアクセサリーと共に散らばっています。

なみにこの空間で使われている照明だけ集めてみます。(左上から時計回りで)アートのようなシャンデリア、インダストリアルテイストのテーブルランプ、オーガニックシェイプなガラスランプ、舞台用ライト、ヴィンテージのファクトリーランプ、アイロンワークスのアーティーなランプなど。混ぜ具合でいい味を出してくれるアイテムです。lamps.jpg

夕暮れになるとこれらのばらばらのランプの効果が絶大なことが分かります。夜の空間の深みとリズム感はランプによって創られるのです。85-084 copy.jpg

2.でも方向性が見える

下の絵を見るとばらばらなのは一目瞭然ですね。しかしばらばらでありながら、ある方向性も見えます。その方向性を創るのが繰り返される特徴的なエレメントです。

この空間におけるエクレクティックデザインのキーエレメントは、家具のラインに出てくる黒の使い方とファブリックの色合いです。上記のソファにある特徴的な黒のフォルムが繰り返されています。この黒が日本的な空気感の要になっています。21-158 copyt.jpg

さらにファブリックに出てくる赤の色合いと、ここでは特に古い帯地をクッションで数多く取り入れているのが、日本美の華やかさと繊細さを演出します。fabric.JPG

3.深みのある景色

エクレクティックに見えるか否かは実はモノの多さや多様さだけではありません。それがあらゆる方向からどれだけ重層的に見えるか、つまり深みのある空間に見えるかということも重要です。写真で撮ってみるとそれはよくわかるでしょう。

下はサティに座って見た景色です。深みのある景色を創るためには、テーブルの上に置くものも重要です。視線の上に物が重なり合い、奥へと視線をいざないます。34-042 copy.jpg

さらにやわらかな布の重なりは、心地よさを演出します。27-348 copy.jpg

4.アーティである

これがないと、エクレクティックにはなりません。ただし、アート作品を飾らなければならない、ということではなく、目を引く、面白い、アーティなモノが山椒のように効いているということです。この空間では、伝統工芸品もその役割を果たします。arty items.jpg

(写真左上から時計回りに)シャンデリア、ミラー、和箪笥の金具、高岡銅器のランタンとテーブルの螺鈿細工、九谷焼き(アンティーク)と手描きの壁紙、天球儀、ランプ。いずれもちょっと変わっていますね。そして和の伝統工芸品の力強さは目を引きます。

アーティーなものには得てしてストーリーが隠されています。それを見つけた時の感動、旅の思い出、お店での駆け引き、そしてそのものが持つ過去の歴史など、ストーリーのあるアイテムは空間でもひときわ輝きます。

今回はエクレクティックの4つのテクニック1.揃えない、2.でも方向性が見える、3.深みのある景色、4.アーティである」のお話をいたしました。

さて次回は、クリスマス飾りつけまっただ中のロンドンの景色をご案内しつつ、さらにエクレクティックインテリアをご紹介していきたいと思います。

さて今回は少し箸休めで、本当に短いイギリスの秋景色をご紹介したいと思います。

今年の秋は10月中旬までは記録的に暖かく、(通常は9月末で日本の晩秋の寒さになるのですが)10月後半で一気に秋が来ました。

日本の紅葉は色鮮やかで本当に美しいですが、イギリスはどちらかというと、葉が黄色くなりそのまま散ってしまいます。美しさで言うと、比べようもありません。

犬の散歩で訪れるバタシーパークの黄色い紅葉。(写真をクリックすると拡大ウィンドウで見ることができます。)IMG_1894.JPGIMG_1877.JPG

ただ、一つだけ結構素敵だなと思うことは、弱々しくなった角度の低い太陽によって作り出される、いかにもイギリスらしい、ちょっと陰鬱で、はかない感じの光の陰影や木漏れ日です。ちなみに111日ですとロンドンの太陽の南中高度は24度ほど、昼間でも夕方のような光です。東京は同時期に約40度ですからずいぶん弱々しい光ですね。

以下はバタシーパークのプラタナス並木。がさがさと大きな葉っぱが積もり始めると、優しい木漏れ日がふりそそぐ季節に。IMG_1885.JPG

そしてこの弱々しい光が、インテリアにおいても何とも言えない陰影を生み出します。日本の家屋が万葉の昔から夏の暑さをしのぐことを主眼に置いて考えられたのに対し、英国では圧倒的に長い、か細い光の季節を快適に過ごそうとしたことが、インテリアを重層的に、リッチにしていった理由であることも理解できます。実際この時期の窓辺はなかなか素敵です。

以下は最近訪ねたOxford近くのマナハウス、Hartwell House & Spaのレセプションラウンジ。

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ここ10年通っているお気に入り、ケンブリッジのケトルズヤード美術館(Kettle's Yard Museum http://www.kettlesyard.co.uk/ ) の窓辺。やわらかい光になごむ。(撮影:遠藤絵美)IMG_5188.JPG

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そこで、今回はつい最近訪ねたケンブリッジの秋の風景とともに、秋の太陽光のマジックと、この街のエクレクティックな部分も併せてご紹介してみたいと思います。

 朝もやの運河と牛もいるメドウ。P1140154.JPG

ケンブリッジ名物パント(舟遊び)乗り場。P1140170.JPG

少し陽が高くなったキングスカレッジ周辺のケム川。P1140281.JPG

トリニティカレッジのポプラ並木。P1140275.JPG

建物に木漏れ日が影を作る。P1140230.JPG

ケンブリッジは約800年前の大学創設とともにできた街。街の中もそれぞれの大学ができた時代を反映し、まさにエクレクティックな建築を観ることができる。キングスパレードに立ち並ぶ建物。P1140209.JPG

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それぞれの建築が違うことのみならず、一つの建築の中にさまざまな様式を混ぜ込むのも当時から流行っていたようだ。以下のように不思議なミックス感を持った建築も多い。(絡まっているアイビーは英国で一番赤がきれいな紅葉を見せてくれる)P1140227.JPG

こちらの建築も不思議なまぜこぜ具合。ショーウィンドウには観光名所の時を食べるバッタが「学生よ、時間を無駄にせず勉強せよ」と時を刻む。glasshopper.jpg

太陽の光の陰影は、チャペルなどの大建築では、その効果をさらに強く発揮する。

ゴシック建築のキングスカレッジのチャペルにほぼ横から降り注ぐ秋の光が、その複雑なヴァンヴォルト(天井の網目)に光の交響詩を奏でるよう。P1140289.JPG

その光は、建築外部にも深い表情を刻みだす。P1140300.JPG

圧巻だったのはトリニティカレッジのチャペルでみた陰影。フェルメールの絵の陰影のよう。(撮影 遠藤絵美)IMG_5142.JPG

私の自宅のリビングの高い窓からも、この時期には柔らかな光が部屋の奥まで差し込む。2-164 copys.jpg

この時期愛犬も日向ぼっこで気持ちよさげ。(上下撮影Kotomi)29-312 copys.jpg

今回は英国の光、この時期にしか見られない光の陰影をさまざまな場で見比べていただきました。

もう一度足早にスクロールしていただくと、マイルドな秋の光の雰囲気を確認していただけると思います。

 さて、次回はエクレクティックインテリアの本題にしっかり戻しましょう。

今週はハロウィンの週末です。
ロンドンの街じゅうにお化けとゾンビが溢れています。隣家のパーティーにも50人以上のゾンビが集まっている模様。えらくうるさいけど、噛みついたら祟られそうなので、今日は我慢。
今日見かけたなかで、何といっても受けたのは、ピカデリーサーカスにいた警察官のゾンビ。
「CCTV付きの警察車が街をパトロールしますよ」というキャンペーンですが(ロンドン暴動以降警察もアピールに必死の様子、真面目なお仕事です)、警官もゾンビになって道行く人に写真を撮らせて宣伝効果を上げていました。血糊&カラーコンタクト付きでかなり怖い。しかしこの「便乗+遊び心=インパクト」手法にはなかなか関心させられました。(写真:澤山文枝)
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さて、話を本題に戻して、前回に引き続き和洋エクレクティックの実際をエリアごとにご紹介しましょう。
今回フィーチャーするのは暖炉がある以下の壁です。
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エクレクティックは基本的にモノがたくさん入ります。以前インテリアセオリーでもお話したように、左右対称の空間は大きな質量を内包することができることもあり、まず空間のバランスを左右対称になるように整えます。空間が左右非対称になると、モノの配置で空間のバランスを取るようになるので、モノの位置や数には制約が出ます。エクレクティックを実現するために、空間はできるだけキャパシティを大きくしたほうがいいでしょう。
以下は改装前の様子です。
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実は改装前の空間は問題山積でした。一見「何が問題なの?」と思われるかもしれませんが、ラジエーター(暖房器具)と照明器具の配置が悪く、このままでは家具を置くことすらできず、壁はフォーカルポイントにはなりえません。
そこで以下の赤線の変更を施しました。
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まず、左右対称のアンカーになる位置に暖炉とテレビを擁する壁を立ち上げました。テレビだけではなくスピーカーやオーディオ機器などもすべてここに収まっています。暖炉の熱が上に上がらない工夫もしっかりと施しました。その壁を中心に照明の位置を調整し、さらにラジエーターは家具を置きたい位置から撤去し、熱効率が高まる窓の下へ移動。
まず空間を整える作業を施したことにより、この壁をフィーチャーウォールにすることを可能にしました。
ただし忘れていけないのは、エクレクティックを実現する場合には、空間は左右対称でも、コンテンツは非左右対称が基本です。

さて次はエリア毎のアイテムの配置です。この壁の景色のキーとなるのは次の3つのエレメントです。
1.中央の壁とその周辺の構成要素
2.左側のチェストとその周りのセッティング
3.右側の棚と周辺のセッティング
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それぞれに見て行きましょう。

1.中央の壁とその周辺の構成要素
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中央の壁の一番上にあるのはゴシック調の鏡です。ゴシック様式は教会建築に代表され、天の神にできるだけ近づき、意識を高く引き上げることを目指す建築です。天井が高く窓が縦に長いこの空間のエレメントをインテリアに取り込む仕掛けのつもりでこの鏡を入れました。そしてやはり、ちょっと変わっているなと思わせたいという思いもありますし。
中央にはTVとスピーカー、壁の横には中のシステムにアクセスできる扉がついています。ここはあまり仰々しくはせず。
さらにその下には暖炉。ゴージャスではなくても、とりあえず暖炉は欧州インテリアのフォーカルポイント。最近は換気不要な液体燃料を使えるシンプルな暖炉もあります。

その暖炉を背に、ここでは蓮夕のサロンチェアを色違いの対で置いています。クッションにはアンティークの帯地を仕立てなおしたものを使っています。
このサロンチェアは、英国においてもそのラインから和を感じさせる椅子と評価をいただいています。
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暖炉の横は家の主人が座る特等席。昔は火が跳ねるのを防ぐために背が高い椅子を置きました。
こういった椅子はキャラクターが強いですから表現力があります。和のエクレクティックという意味合いを強調するためにも必要なアイテムと考えました。

2.左側のチェストとその周りのセッティング
通常暖炉の左右の壁は左右対称にまとめることも多いですが、ここではあえて全く変えています。
チェストは自分でデザインして作ってもらったものですが、金具には桐箪笥の伝統工芸技術が活きています。私が生まれたのは新潟県の加茂市、桐タンスで有名な街です。この箪笥につける金具は2週間湿気の多い新潟で雪さらしをして錆させた後、10回以上漆をかけて何とも言えない手触りを作り出したものです。ここで使っている木材はローズウッドのソリッドですが、深い木目に重厚な金具が良く映えています。
P1110539r.JPGのサムネール画像
家具の上を飾るのは、私にとっては思い入れの大きいロンドンチェルシー界隈にかかるアルバート橋のモノクロアート写真。間をつなぐアクセサリーは、クローム色の天球儀や写真立てでシャープなコントラストを生み出すように。全体で醸し出す雰囲気の面白さを狙いました。まとめる要素があるとすれば、鉄のさまざまな表現でしょうか。
 
3.右側の棚と周辺のセッティング
右側は打って変わって華やいでいます。
ランダムなディスプレイに合いそうなオープンシェルフ(自身のデザイン)を漆で和風に仕上げ。手描きの壁紙を使ったパネルを背景に、友禅地を木目込みにした写真立てや、七宝焼きの梅図柄皿、そして九谷赤絵の一輪ざしや夏目が雅感のある華やかな和を表現しています。でもそれだけにとどまらず、洋のキャンドル立てやオーガニックなガラスの照明器具が和エクレクティックな雰囲気を作ります。(写真:Kotomi)
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いかがでしょうか。
和と洋とエクレクティックを生み出すために、全体としての空間、それを構成する各々のエリア、その中に展開されるひとつひとつのアイテムの選択方法の一例をご覧いただきました。以下の雰囲気を作り出すための挑戦と試みの過程です。
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もちろん、ここで行っていることが100%正解ではありません。
逆に、正解がないのがエクレクティックの面白さでもあります。
こんな雰囲気を作るために、こんなアイテムを置いてみたらどうだろうという実験がいくらでも行えるのがエクレクティックインテリアです。

ただ、一つだけ言えるのは、和を入れて大正解だったといえることです。
この家を訪ねてくださった多くの皆さんが、異口同音に言われるのが、「和の空気は落ち着く」というコメントです。日本人だけでなく、英国の方からも言われます。
その和が主張しすぎていないのも、洋の空間で洋のアクセサリーと融合していることも、重要なポイントです。
実は、その融合できる資質とは、和のアイテムが本物であるということです。本物の和の伝統工芸品は、力強く華やかです。この力があるからこそ、洋の空間の中で映えるのです。

澤山乃莉子

英国インテリアデザイン協会(BIDA)正会員
王立建築家協会準会員
インテリアデザインオフィスNSDA代表