こんにちは・・・・中部メンテナンス課です。
長年ご愛用いただいる椅子には、思い出や愛着があります。
ただお使いの間に接合部が緩んできたり、予期せぬことで壊れてしまったり
することがあります。そんな時、可能な限り元通りに修復できれば、
また大切にお使いいただけると思います。
今回お預かりいたしました椅子は、本体ぐらつきの再接着と背モタレ上下桟
の割れの修理をさせていただきました。
背もたれの上桟の割れ部分はテープを貼って補強されていたようです。
当時のカタログから、品番は、[CC0305GK]というモデルと思われます。
背もたれ上桟の後ろの割れ部分は、お客様が接着剤でくっつけているようですが、
少しずれて接着されていました。また、シート後ろの背もたれ下桟も割れていましたので、
背もたれの上桟の接着された部分にシンナーを染み込ませ、ノミで少しづつ
壊さないように外しました。
外した材料は、できるだけしっかりと接着するよう削りながら調整し、ほぼ形が整ったら
エポキシ接着剤で接着します。
接着面の隙間には、瞬間接着剤と木の粉を混ぜたもので埋めます。
再度、形を整えてから「C型クランプ」で圧締して一晩固定します。
翌日、接着が固まったら接着面を平滑にするためヤスリやペーパーで削っていきます。
きれいに接着したようでも、段差があったので平滑にするには結構広く削る必要がありました。
ほぼ平滑になったら、次は色を付けていきます。
今回はスプレーガンではなく、筆とエアゾールスプレーにて修正を試みました。
まずは完全に色が剥がれた部分に木地着色をします。
その後、補色の密着をよくするため、サンディングシーラーを吹き付け、
#600のペーパーで研磨します。それから周辺の色合いと木目を意識しながら
補色を重ねていきます。少しずつ筆で色を付けていきながら全体の色合いを
合わせていきます。
ほぼ色合わせが出来たら、上桟の下部分にエアゾールスプレーで塗装しました。
その後全体を5分消しで上塗り(フラットクリアー)し完成です。
同様にシート後ろの横桟も接着、塗装を実施してきれいに仕上がりました。
部分的でない面の塗装については、本来スプレーガンで補修するのが一般的です。
今回塗装面が広かったのですが、あえてどの程度出来るのか筆で色付けしてみました。
やはりとても時間がかかる作業でしたが、今後も末永く使っていただきたいという思いで
丁寧に修理させていただきました。ありがとうございました。
■今回の修理費用は
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フレーム再接着と破損個所の部分接着
及び部分塗装修理で¥13,000(税別)
[別途運送費用が必要になります。]
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2018年10月現在価格